ラクサス・テクノロジーズ(288A・G)が12月13日、グロースに新規上場した。ワールド(3612・P)の子会社(上場後は持ち分法適用会社)で、ブランドバッグのシェアリングサービスをしている。初値は公開価格を51.6%上回る426円。上場当日の記者会見で、高橋啓介代表取締役社長執行役員=写真=の語った内容のポイントは次の通り。
月額9,800円で使い放題……われわれはモノが持つ価値のポテンシャルを開放したいと思い、ブランドバッグという資産を日本最大級保有して、月額9,800円で交換し放題というところから始めている。今までは新品を買って所有するしかなかったが、われわれはそれを貸す。利用者は月額9,800円で、20万円するバッグを使える。さらに、試用販売と言っているが、気に入ったバッグは購入できる。もし、交換したい場合は次のバッグを交換し放題。価値があるモノのユーザーの裾野を広げる。
コロナ明けで顧客獲得、黒字浮上……サブスクリプション会員費の売り上げ構成が77%。試用販売が7%。このほか、保有バッグで人気が無くなったものや、人気があっても価値が上がったものは外部に売っており、BtoB/C販売として15%ぐらいになる。売上高成長率は年平均19%。コロナ禍はバッグをもって外に出る機会がなかったため、業績は苦しかったが、コロナが明けてしっかり顧客を獲得でき、適切に稼働していないものも(売却で)収益を上げている。2023年3月期から黒字転換。営業利益率は21%と高収益になっている。
顧客から感謝の手紙……われわれがサブスクを始めたのは9年前。今では(サブスクシステムが)一般に広まっているが、商売として決まったフォーマットがなかったので、独自のオペレーションやITシステムを作り上げてきた。新品をブランドから仕入れるのでなく、二次流通の卸、オークションで良いバッグを厳選して仕入れている。これまで60ブランド、4万点以上のバッグを仕入れてきた。ユーザーで仕事をしている人が73%、お子さまがいる人が44%。夫婦共働きで、女性として輝き続けたいし、お子さまにもお金をかけたいという層から、ブランドバッグは何十個も買えないけれど、楽しみたいと好評を得ている。お客さまからは「勇気をもらった」など感謝の手紙をいただいており、もっと普及すると信じている。
独自モデル構築が勝機に……ワールドの支援を受けながら圧倒的な資産(バッグ)数を築けたことや、自分たちで仕組みを作り上げたことが大きい。市場データをためており、人気のバッグを厳選して調達。在庫はメンテナンスをきっちりしている。自社倉庫も自分たちで運営して、会員数が2、3倍になっても大丈夫な設計。また、残念なことに借りたバッグを持っていかれる(盗まれる)確率もあるため、登録時に審査して、一定数はお断りしている。モノのシェアリングはみんなが大切に正しく使うことが前提なので、コミュニティを維持している。また、われわれは短期で(商品を)回転させるのでなく、じっくり待ってサブスクや販売で収益を上げるビジネスモデル。(競合が参入する)ハードルが高いと認識している。
バッグ以外や海外展開も……ある調査によると日本人の女性の56%はブランドバッグを持っている。われわれはまだ2万人弱の会員なので、世の中の女性の数からすると、まだまだ(市場成長の)可能性はあると信じている。ユーザーの価値を最大化するためには、人気のバッグをそろえて、LTV(生涯総収益)をいかに最大化できるかが大切。今回、約16.9億円調達できたが、大部分はバッグを仕入れる投資に使いたい。サブスク収益は持続成長を遂げるし、二次リユースの収益も最大化できる。それだけでなく、われわれは価値あるモノとして最初にバッグに注目した。「バッグ以外はやらないのか」「インバウンド客にブランドバッグは人気だがアジアでやらないのか」などと聞かれるが、非連続的な成長として狙っていきたい。(HS)