ロココ(5868)が12月20日、スタンダードに新規上場した。ITアウトソーシングやBPOサービスなどを手掛ける。初値は公開価格を2.4%下回る1,100円。上場当日の記者会見で、長谷川一彦代表取締役社長が語った内容のポイントは次の通り。
心をひっくり返して社名に……ロココの名前は「心」から生まれており、企業のあるべき姿を考えたとき不可欠であると「心」をひっくり返して付けた。社の心として「信頼はすべての礎なり」としている。私はCSK(現SCSK)で22年間、(創業者の)大川功氏に学び、1994年にロココを設立した。信用も技術も無い無いづくしで会社を始めたが、最初の取り引きが松下電器(現パナソニックHD)と日本生命だったのがきっかけで、取り引きの7割が上場およびそれに準ずる企業となっている。2014年にアイ・シー・ティーグループ、18年にジー・インサイトのM&Aを行い、加速度的に成長した。
7つの事業を多彩に展開……売上高の68%がITO&BPO事業、もう一つがクラウドソリューション事業。ITO&BPO事業は3つに分かれ、ITサービスマネージメント事業はわれわれの正社員を上場会社に常駐させるアウトソーシング事業。カスタマーコミュニケーション事業は24時間365日のコールセンターを自前で持っており、お客さまにサービスを提供することを実施する。イベントサービス事業はライブチケットの配席管理、主に(旧)ジャニーズ事務所のコンサートチケット。クラウドソリューション本部は4つに分かれ、その中でサービスナウ事業が今一番成長しており、毎年30%前後成長している。HRソリューション事業は、自社開発した勤怠管理システムのロコタイム。ソリューション事業は客先に開発メンバーが常駐し受託開発する事業部。ソリューション事業は自社開発の顔認証を使ったシステム。HRソリューション事業と関連するが、約1万6,000人が勤怠管理と顔認証で利用いただいている。海外にも事業展開して中国、フィリピンにオフシェアセンターを構えている。
解約率の低さが強み……20年はコロナの関係でチケット事業は低迷したが、翌年から右肩上がり。当社の強みは先ほども取引先の70%が上場および上場に順ずる企業が多いということと、解約率が5%未満と低く、長期にわたって安定した取り引きを実現していること。お客さまのかゆいところに手が届くよう、無駄、無理、ムラの3ム関係を徹底的に話し合うことでよりよいサービスを提供でき、信頼関係がより増すことで、長期的取引が継続している。社員の48%が女性、外国籍も14%おり、バランスが取れている。エンジニアの離職率も5.2%と同業より低い。今後、サービスナウ事業が中心になっていくと思う。サービスナウジャパンからも評価が高く、一緒に大きくやっていきたいと言われている。クロスセル、アップセルという形で横展開、いろんな事業の展開につなげる企業としてこれからも成長していきたい。
ジャニーズ問題に影響なし……(旧)ジャニーズに関しては、テレビに出なくなれば1,100万人のファンが会えるとすればコンサートしかない。既に再来年3月まで会場を押さえており、なくなることはない。われわれも徹底したサービスでしっかりやっており、足元の業績に影響は出ていない。この状況は継続できると考えている。転売問題はジャニーズも困っている。当社は顔認証システムを持っているので、転売をできない形をジャニーズとしっかり考えていきたい。
コロナの反動収まり高収益へ……(水野賢仁取締役)今12月期の業績予想は4%増収だが減益となっている。去年はコロナの反動で利益が大きかった。特にコンサートはコロナ禍でできなかったのが、去年は回復して通常期より多かった。コロナのワクチンコールセンターの受託で利益が出ていたのも通常の状態に戻った。今後はサービスナウを軸として高収益の事業が伸びていくと考えている。