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IPO2024年7月2日

IPO社長会見 ロゴスHD 北海道発の注文住宅を全国へ

ロゴスHD(205A)が6月28日、グロースに新規上場した。北海道を地盤に注文住宅を手掛ける。初値は公開価格と同じ2,290円。上場当日の会見で、池田雄一代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

赤字からしっかり回復……当社は北海道に本社を置き、6社からなる注文住宅のグループ。創業したのは北海道の十勝地方だが、冬はマイナス30度、夏は35度を超える日本で最も寒暖差の激しい地域。厳しい自然環境の中で生まれた住宅を北海道、東北、北関東(栃木、埼玉県)に展開している。注文住宅という紙の上(設計図)にしかないものを買ってもらうために最も大事なのは信用であり、それを得るために上場会社になることを考えた。2023年5月期はウッドショックもあって創業以来初めて赤字になったが、24年5月期はしっかり利益が出るように業績回復したことと、赤字の原因となった原価の問題が値上げやコスト削減で解消され、社内の管理体制も整い、このタイミングで上場した。札証でなくグロースを選んだのは、北海道から全国に展開したいと考えているから。

デジタル駆使して生産性高める……これまで日本の家づくりはアナログ的手法で生産性は著しく低かったが、当社はデジタル、DX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使して生産性を非常に高めているのが特徴。経営理念は「日本の家づくりをつくる」。現在、様々な環境の変化により日本の各地方の工務店は厳しい経営にさらされている。これまで地域の住宅文化を担ってきた工務店が淘汰(とうた)されるのは地方経済の衰退につながる。各地方の有力な工務店をM&Aで取り込み、全国の工務店とつながるアライアンスグループをつくり、日本の住宅文化を守るのが当社の使命と考えている。

30年の引き渡し棟数は5倍目指す……創業以来一貫して引き渡し棟数を増やしており、24年5月期は1,076棟の見込みで、4年で2倍以上に増えている。この伸び率は業界でもトップクラス。30年には5,000棟まで増やしたい。オーガニックで3,000棟、あとの2,000棟はM&Aでと考えている。200~300棟前後を販売する会社を中心に7、8社を想定している。出店は現在、リモートを併用して少人数、低コストでできている。価格は他社の同条件の住宅より7%ほど優位となっている。昨年、北海道クラシアムという宿泊体験型のショールームをオープンした。車や服は試乗、試着があるが、住宅はこれまでなかった。住宅を検討している客に実際に泊まってもらい、性能、環境の良さを体感してもらって、購入してもらう。こちらも全国に広げていく予定。

デジタルで生産性向上……当社の一番の特徴は生産性の高さ。それを実現しているのはデジタルマーケティングとDXオペレーション。一般的にハウスメーカーは住宅総合展示場に出展し、テレビCMやチラシで大量に集客して、多くの住宅会社同士で競合するという競争の厳しいビジネスモデル。当社は激しい競争下の総合展示場には一切出展しなく、ウェブやSNS(交流サイト)を駆使してピンポイントで確度の高い客を自社のモデルハウスやショールームに呼び込める。コロナを経て、総合展示場に人がなかなか集まらないという事象があり、多くの住宅会社が集客に困っている。当社はそこがうまくいって、集客数が伸びて、集客コストは競合の10分の1程度。DXに関して言えば、従来家づくりは非常にアナログ的要素が多くて、たくさんの人が関わり、コストも高くつき、ミスも起こりやすかった。当社は家づくりの全てのプロセス(集客、セールス、打ち合わせ、施工管理)をデジタル化して「移動時間ゼロにする家づくり」を掲げている。

人手不足解消の工法を特許申請……また、現在、特許申請中のMCB工法は日本で唯一の木造モジュール工法。従来、住宅は柱や壁などの材料を現場に運んで組み立てていた。コストが高く、屋外で作るので精度も落ちる。MCB工法は快適な工場の中で木の箱を作ってトラックで積んで現場で組み立てる。積み木のように組み立てるので工事期間も短く、熟練工も必要としない。今、建設業界では2024年問題として人手不足が騒がれているが、その課題を解決する。この工法を他社にも提供してM&Aの足掛かりにしたい。(HS)

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