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IPO2024年5月30日

IPO社長会見 学びエイド タイパ抜群の映像授業を提供

学びエイド(184A・G)が5月28日、グロースに新規上場した。学習塾などに映像事業を提供している。初値は公開価格を32.1%上回る1,282円。上場当日の記者会見で、廣政愁一代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

個別最適化学習に対応……映像とICTを組み合わせた教育のデジタル事業をしている。国のGIGAスクール構想で個別最適化学習がうたわれているが、集団授業では難しい。そのため当社はモジュール化したマイクロ動画、タイムパフォーマンスに優れた映像授業を提供している。あとで何か知りたいとなったら5~10秒で見られる電子辞書みたいな映像授業を目指している。EdTech(教育工学)市場は右肩上がりで伸びており、なかでもコンテンツ部分だけが伸びているのが強み。

鉄人講師が5、6万本の映像制作……主に2つの事業をしている。1つは映像事業に生徒管理システムや学習管理機能を付けて塾に卸すもの。私はもともと東進ハイスクール予備校の講師だった。30年にわたって培った人脈を生かして鉄人講師と呼んでいる教育のプロを集めて最高の映像授業を作ろうと5、6万本のマイクロ動画を作った。これを塾で見てもらい、利用料を頂く。売り上げの5%は鉄人講師に戻す。これが「学びAID Master」。また大規模な学習塾のカスタマイズしてほしいという要望に応えたのが「学びAID Mater for school」。

参考書の付加価値として活用……もう一つの事業は「学び AID for Enterprise」。ある出版社からマイクロ動画を付けてくれとの依頼があったのがきっかけ。かつては参考書にCDを付けるのがブームとなったが、最近は問題集や参考書にQRコードを付け、映像授業を使えるものが増えてきた。困ったときに見ればよく、シンプルだけど分かりやすいものを付けている。こちらは出版社から依頼され、鉄人講師に動画の作成を依頼して、報酬を払っている。

優秀な講師と教育分野への特化が強み……有名な大手企業が参入してきたらどうするのかといわれるが、当社には100人以上の優秀な講師陣がおり、英数国理社だけでなく、倫理、情報といった教科までいる。また、東大レベルの生徒から小学生まで教えられ、どのレベル、学年、科目でも優秀な講師陣をそろえるのは大手でもなかなかできない。また、学習指導要領を踏まえてきっちり作らないといけない。教育分野に特化した専門性、安心性がある。3つ目は3分、5分のタイパ(タイムパフォーマンス)を重視した超効率化した授業を作ってきた。どう編集したらよいかの知見がある。この3つは大手でもキャッチアップするのはほぼ不可能だと思う。また、われわれは公教育ができなかったものを拾っている。塾はコンビニの数だけあり、コンビニにATMがあるように、塾に学びエイドがあれば困らないと考えている。

新サービスも続々投入……今年1月に塾内予備校「テツヨビ」をスタートした。中3の通塾率は8割を超えるが高1は3割しかない。これは地方の塾などでは、高校の専門性のある授業を教えられるレベル教師が少ないから。当社がオンラインで指導する。塾は生徒を集めるだけで、あとの運営は当社がやる。また、昨年11月にオンライン小論文添削サービス「添削道場」も始めた。これも塾で小論文の指導する人がいないことへのソリューション。

全年齢に市場拡大へ……少子化を問題視されるが、GIGAスクール構想で出された個別最適化は始まったばかりで、ここ10年ぐらいは市場が大きくなる。もう1点、小中高の生徒だけでなく社会人領域まで拡大する。まず宅建、看護師試験などの資格試験。昨年夏に共同印刷(7914・P)と資本業務提携した。共同印刷は資格試験の参考書を多く印刷しており、映像授業も付けないかと営業している。また、社内のマニュアルもこれまでは紙だったが映像授業になっていく。書籍に映像授業が付き、ITを使った確認テストをするのが普通になると、全年齢に市場が広がる。

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