ARアドバンストテクノロジ(5578)が6月23日、グロース市場に新規上場した。AIやクラウドなど市場で人気のテーマに乗る銘柄とあって、初日は買い気配のまま取引を終え、週明け26日に公開価格1,260円に対し3.1倍の3,950円で初値を付けた。 同社はクラウドネイティブ技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスをワンストップで提供する事業展開を行っている。上場当日の記者会見で武内寿憲代表取締役社長=写真=は今後の成長戦略などについて以下のように語った。
顧客のクラウド活用、AI活用を支援
顧客がデジタルシフト、クラウドシフトを実現するため、各種コンサルティングからシステム開発、保守までのクラウドインテグレーションをワンストップで提供している。クラウド活用総合支援の「cnaris(クナリス)」や、データ・AI活用総合支援の「dataris(デタリス)」といった領域特化型サービスパッケージのブランドを展開、AIを主軸としたプロダクトではAIマルチエンジン「LOOGUE(ローグ)」などを展開している。LOOGUEはチャットGPTとの親和性も高い。DX関連の人材紹介、派遣に特化したマッチングサイト「テクパス」を主軸にDX人材の提供も行っている。
独自のポジショニングを獲得
クラウドネイティブで専門性が高い分野で顧客のDXニーズを柔軟にカバーしている点、クラウドのインフラ提供にとどまらず一気通貫でクラウドネイティブなアプリケーション領域のシステムまでカバーしている点が、大手や専業のシステムインテグレーターとの違いで、独自のポジショニングを獲得している。また、DX化に必要な先進技術を一体的に活用しプロジェクトを編成する「BTCアプローチ」で差別化を図っている。「B」は「コンサルティング(Businessノウハウ)」、「T」は「技術(Technology)」、「C」は「デザイン(Creative)」で、必要な人材を網羅的に配置できることも強みだ。人材面では独自の育成・定着の仕組みを築き、新卒を中心に高い定着率を実現できている点も強みだ。
3つの成長戦略
成長戦略の骨子としては「BTCアプローチ」の強化、顧客開拓と生産性の追求をうまく循環させ、販売の拡大につなげるハイブリッドアプローチによる高付加価値商材の発掘と開発による新規事業の強化、研究開発投資の強化を推進する。現状では単なるシステム開発は減少しており、データ活用、AI活用を含めたクラウドインテグレーションをどれだけ展開できるかがマーケットのニーズを取り込むためのポイントだ。当社はそれを一気通貫にできる。当社の製品とブランドはクラウドインテグレーションから得たノウハウを標準化、自動化することから生まれるが、このサイクルを強化する研究開発投資も継続的に行っていく。(M)