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IPO2024年6月13日

IPO社長会見 D&Mカンパニー 資金、コンサル、人材で医療機関支援

D&Mカンパニー(189A・G)が11日、グロースに新規上場した。医療機関に対する経営サポート事業を手掛ける。初値は公開価格を30.8%上回る1,308円。上場当日の会見で、松下明義代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

経営改革が遅れている業界……医療福祉サービスは日本最大級の産業であり、経営の安定は日本にとって重要な課題。病院の8割弱、介護施設の43%が赤字というデータがある。診療・介護報酬の単価が下げられていることや、人件費、光熱費などの経費の上昇が要因と言われている。当社が個々の経営を見ると、民間病院は長らく潤沢な診療報酬を受け取り、経営を意識せずに存続できたため、なすべき経営改革をしていない医療機関が多い。医療の経営者は医師が多く改革にはパートナーが必要と思うが、わが国では極めて乏しい。

3サービスをワンストップで展開……当社はそうした状況を打開すべく事業を開始した。顧客の経営改善、改革、その後の事業拡大のためファイナンス(F&I)、コンサル(C&Br)、人材(HR&OS)の3サービスを提供している。サービス導入に際しては、まず問題がどこにあるか調査する。医療でいうところの検査。その後に課題解決のためにどのような体制が必要か、必要に応じてサービスを決定する。いわば治療方針の決定。そして実際に現場に入り込み、それらのサービスを自らワンストップで提供。経営者と同じ船に乗って課題を解決し、フォローアップもする。治療の実践とリハビリだ。当社は医療福祉経営の安定発展のためワンストップ、ハンズオンで、結果にコミットしたサービスを提供している。

日本最大級の成長市場を取り込む……強みは2つあり、1つはマーケットの規模と成長性。現在、診療報酬と介護報酬を合わせ約55兆円。これが2040年には約90兆円になると予測されており、日本最大級の成長マーケット。市場の成長を取り込むことで業績拡大を見込める。医療福祉業界は個別性、特異性があり参入障壁が高い。競合は今も大変少ないし、参入も限定的と思う。2つ目はサービスの優位性。ワンストップ、課題解決のために3つのサービスをより有効、より有機的に組み合わせることが可能。それぞれのサービスはオールドビジネスだが、組み合わせてかゆい所に手が届くサービスは当社以外ないと考えている。さらに資金支援は、ファクタリング(診療・介護報酬債権買い取り)という独自の手法、審査ノウハウがあり、他社にはできない。高い実効性で顧客に満足してもらっている。

ストック収入で安定的な利益計上に……売上高、経常利益は右肩上がりで成長しており、特に新型コロナの流行期でもしっかりと業績を伸ばすことができたことはアピールポイントと思っている。純資産も重視しており、24年5月期現在、12億7,000万円。創業8.5年で安定的に利益を積み上げた結果と自負している。当社のサービスのファイナンスや一部コンサルがストック収入で、売り上げ全体の3分の2を占め、解約率も低く、安定的な利益計上につながっている。

M&A事業で大きく成長へ……上場後1、2年は「フェイズ1」として顧客数をまず拡大して、新たなサービス導入で顧客単価をアップさせる。上場を機に積極的な営業展開、ファイナンスサービスの資金調達、人材採用などの効果がある。現在、顧客は近畿、首都圏に集中しているが、知名度が上がり、今後は地方都市の顧客を拡充すべく、地銀や信用金庫との連携も可能と思っている。その後の「フェイズ2」はM&Aで大きく成長させたい。医療福祉業界は大再編時代が到来しつつある。当社独自のネットワークを生かし、仲介のみならず再編のための資金を取り込んでいく。医療業界のM&Aは特殊で、銀行や競合もなかなかやれない。デュー・ディリジェンス、PMI(M&A後の統合プロセス)も取り込んでいき、大きく成長させていく。

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