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IPO2024年8月1日

IPO社長会見 Faber Company デジタルマーケティングの課題をワンストップで解決

Faber Company(220A)が7月31日、東証スタンダードに新規上場した。初値は公開価格を19%上回る1,190円。同社はデジタルマーケティングの自動化ツール「ミエルカSEO」などSaaS群、人材・教育、コンサルティングサービスを提供。上場当日の記者会見で稲次正樹代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

自動化、可視化のツールを提供……デジタルマーケティングにまつわる自動化ツール、そしてリソース、人的支援に関するサービスを提供している。主要プロダクトの1つである「ミエルカSEO」は、何を知りたくてその検索キーワードを入れているのか、その人の検索意図を正しく判断しなければグーグルやヤフーの上位に表示されるプレゼンスの高いページを作ることはできないという事情があるので、この辺を診断するもの。また、「ミエルカ ヒートマップ」は、アクセスユーザーがどのようにそのページの中を回遊しているか、熟読箇所や離脱箇所をサーモグラフィで示す。その結果をもとにページを改善し、一人でも多くのユーザーに問い合わせや買い物といった行動を起こしてもらうことにつなげるためのツールだ。

AIと人力のハイブリッド……私たちはAIを積極的に取り入れている。8年間大学でAIを研究している研究室と共同研究を広範に続けてきた。19年間蓄積してきたお客様の正解データをAIに学習させている。そのため、弊社のAI機能を活用してもらうと、(一般論の)ChatGPTで出てくるあの文章ではなく、弊社の正解モデルを付したアウトプットが出るということで非常に好評を博している。一方で、やはりマーケティングは最終的に人間の暗黙知というものが非常に重要。まだまだAIには売れる商品を作るというような機能はない。なので私たちの会社に属する著名な人物にいつでも質問ができるというコーナーをツール上で展開している。これがなかなか他社には提供できない機能である。

即戦力マーケティング人材……「ミエルカ コネクト」では、デジタルマーケティングの専門的な知識を持つ人材をデータベース化している。クライアント企業の多くはマーケティング部門にデジタルマーケティングの専門家というのはあまりいない。そのため、デジタルマーケティングの人材を採用しようとしても、その求職者が本当に自分の会社が求めるスキルにマッチしているかどうかアセスメントすることができない。ここを私たちが成り代わってアセスメントを行い、マッチングした後の企業様の評価も蓄積している。

同業他社に無い強み……リード獲得力とプロダクト力、そしてコストメリットを生かした開発が挙げられる。弊社には業界の教科書のようなポジションを築いている著名人が属しており、彼らを元にしたネットワーク構築力・発信力がセールスリード、いわゆる問い合わせ数の多さにつながっている。また、私たちは現場から入る仕事が多いので、その現場の課長や主任が判子を押せる金額にエントリーモデルを用意しているということが非常に重要。リードタイムを短縮し、コンペを避け、そしてまずお付き合いをいただくことで、その後のクロスセルにつないでいく。安価な提案ができるのは、コストメリットを生かしたベトナムで開発を行っているため。東京で開発した場合に比べて、コストは3分の1~2分の1程度に抑えられている。

安定した収益構造……顧客は1,700社超にのぼり、売り上げが分散している点が特徴の1つ。私たちのサイズの同業者でよくあるのが、1~3社で売り上げの過半を占めている、どちらかというと下請け構造のような形の会社が珍しくない。弊社の場合は超大口のお客様であっても1社で2%を超えることはない。そのため、突然の大型解約による減収減益というようなことは起こりにくい。また、ツールの利用料を中心とした継続的な収入が8割強を占める。

戦略転換で大手・中堅へ集中……創業から弊社の成長を支えてくれたのは主に中小企業の皆さまだった。しかし、コロナ禍で多くの顧客が離脱したことをきっかけに戦略の見直しを行い、現在は大手・中堅企業(売上高100億円以上の企業)へのリソース投下に傾注している。中小企業と大手・中堅企業では1社当たりの粗利益に3倍超の開きがある。結果として、戦略転換後は月額3万円未満のお客様が減り、粗利額の総面積が増えている。なお、2024年9月期業績について、連結売上高の成長率が非常に低い、経常利益に関しては減益なのではとよく言われるが、これは1Qに全ての非注力事業(メディア事業とEコマース=電子商取引=事業)を撤退したため。

潤沢な資金を成長投資に活用……上場準備に4年強を要し、その間に18億円の現預金がたまってしまった。アロケーションとしてはエクイティだけでも24億円(向こう3年程度)の投資余力がある。これは非常に大きな武器だと考えており、特にM&Aでしっかり投資をしていくことで、スタンダード市場ではあるが気持ちはグロースというような形で成長角度を上げていく。また、この1~2年で良いM&A先が無いようであれば、株主さまに対する配当、その他様々な還元を行っていく。(SS)

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