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IPO2025年4月8日

IPO社長会見 IACE(アイエーシーイー)トラベル 逆境をはねのけ、成長へ

IACEトラベル(343A)が4月7日、東証スタンダードに新規上場した。トランプ関税ショックで株式市場が悲観ムードに覆われる中での上場となり、初値は公開価格を13.6%下回る864円。同社は企業の業務渡航を包括的にマネジメントするクラウド出張手配システム「スマートBTM」を中核に、その他出張マネジメントサービスなどを展開。上場当日の記者会見で西澤重治代表取締役社長執行役員=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

ピンチはチャンス……(初値について)こうした状況の中で当社に投資をしていただいた株主さまがいる。感謝の意を持って今後しっかりやっていかなければいけないと気が引き締まる思いだ。着実な成長を見せていくことで報いていきたい。株主還元については配当性向25~30%を考えている。これまでもコロナ禍など、ピンチの時こそ大きな変化をさせて、その都度成長を遂げてきた。「ピンチはチャンス」が合言葉であり、当社らしい門出だと思っている。

圧倒的なコストパフォーマンス……私たちはどなたでも使っていただけるようなサービスを目指しており、最終的には日本の企業のグローバル化に役立てればと思っている。これまでいろんな企業さまと話してきたが、その中にはBTMサービスというものに対してコストがかかるというイメージ、やりたくてもやれないという声がかなりあった。BTM市場はかなり古いマーケットであまり表に出ていない。アナログで様々な細かい作業や手配が多く、そのため価格も高止まりしている部分があった。私たちもコロナ前は労働集約型だったが、スマートBTMと並行して、コロナ禍の段階でバックヤード業務を徹底的に見直した。システムができることは全部システムに、人しかできないことは人でやっていく。そこが他社との料金の違い、価格優位性につながっている。まだ改善の余地はある。今回上場を急いだのは、そういう部分にもっと投資をしていきたいと思った流れがある。

新規の顧客獲得増……手配件数は国内はほぼほぼコロナ前に戻ってきたが、海外に関してはまだ7割強。恐らく今は航空券なども高いので、海外出張の企業当たりの人数や頻度が抑えられていることなどが理由に挙げられる。こうした状況はもう少し続くとみている。一方、その中でスマートBTMでは新規の顧客獲得が非常に増えており、そのうちの約3割が今までBTMサービスを使ったことがない、他社との取り合いではなく完全な新規で入ってきている。当社としてはこの新規企業の契約をどれだけ取っていけるか、そこには自信があるのでそこでカバーしたい。

リアル出張はなくならない……リアルに移動する出張からオンライン会議が代替してしまうのではないかという意見もあったが、実は私たちはコロナ禍の最中からそれなりの出張件数があり、その後の戻りも他の通常の旅行関連に比べて早かった。例えば製造業などは現地に行かないという選択肢がない業態であり、一気にリカバリーが来た。また、コロナ後はあらためて対面コミュニケーションの重要性が再評価されたこともある。こうした経験を経て、基本的にリアルな出張がなくなることはないと確信した。

トランプ関税による出張需要への影響……様々な大きな混乱も出ているが、当社としてはマクロで見れば世界的に影響があって、当社も状況を注視していかなければいけない。逆にミクロで見れば、企業出張における当社のコストの優位性、コストパフォーマンスというのはスマートBTM導入拡大のチャンスと思っている。出張は最初にコスト削減が入りやすい。これまでも何かの要因で企業の経営環境が厳しくなると、それまで私たちが提案しても聞き入れてもらえなかったものが、逆に声を掛けていたお客さまから連絡が来るようなケースがとても多かった。注視はしていかなければならないが、私たちにとってはチャンスと捉えて、どれだけ動けるかがカギとなる。(SS)

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