TOP  NSJアップデート  IPO  IPO社長会見 JRC コンベヤ部品とロボットSI事業で安定性と成長性を併せ持つ
IPO2023年8月10日

IPO社長会見 JRC コンベヤ部品とロボットSI事業で安定性と成長性を併せ持つ

JRC(6224)が8月9日、グロースに新規上場した。同社はニッチトップでリカーリング収益とソリューションで成長する「コンベヤ部品事業」と、製造業としての経験を生かした「ロボットSI事業」(ブランド名はALFIS)の2事業を展開している。初値は公開価格を7.9%下回る1,022円。上場当日の記者会見で、浜口稔代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

ベルトコンベヤ部品は高シェア、高リプレイス率……コンベヤ部品事業では製鉄所、発電所、セメント工場などで使われる屋外用ベルトコンベアの部品を製造。具体的にはプーリ(コンベヤの滑車)、ローラ(ゴムベルトを支えるもの)、スタンド(ローラの架台)をメーンに手掛ける。近年、ベルトコンベア搬送におけるお客さまの課題を解決するソリューション活動をしており、それが評価され成長中。屋外用ベルトコンベヤ部品市場でのシェアは現在52%。また、納品部品の更新・リプレイス率は86%と高く、安定的に収益を上げられる一つの要因になっている。

ロボットSI事業は高成長……われわれはロボットを作るメーカーではなく、ロボットやビジョンカメラなどを仕入れ、お客さまが使いやすいように仕上げて納品している。幅広く使っていただけるよう標準化を行っており、コスト競争力が一般的なロボットSIより高く、納品も早い。われわれが提供するロボットは人がこれまで作業していたものを置き換える人協働型ロボット。まだ数字は小さいが、今2024年2月期は50%成長が見込まれる。今後も50%程度の成長を目指し進めていく。

成長戦略①……コンベヤ部品事業では営業マンや技術メンバーが顧客現場に赴いてソリューションビジネスを展開しており、人の数=売り上げになりやすい。そこで3,000社ほどあるわれわれの代理店さまとノウハウを共有し、代理店に活動いただくことを予定している。これにより利益率の高いソリューションを広げていき、ソリューション売り上げ比率を10年後に6割程度(現在16、17%)に高めたい。海外展開も進めていく。ターゲットはインドネシアなどASEAN(東南アジア諸国連合)アセアンと北米で、近い将来、製造拠点を設けたい。われわれは30年前からローラを完全自動化生産し、長年改良を加えてきた生産設備も強み。こうしたものを海外に展開し、安いコストで安定した品質の製品を作り上げ、海外パートナーの販売網を通じて販売することで伸ばしていけると考えている。インドネシアと米国は、中国、インドに続いて石炭などの産出量が多い。生産・産出量が多い=長距離のベルトコンベヤ使用量が多い=マーケット規模大。特にインドネシアは現地で有力メーカーが育っていないこともあり、われわれが進出すれば優位性が保たれるのではないか。取引先の現地の資源大手企業からも要望があり、ぜひ実現したい。

成長戦略②……ロボットSI事業が狙っている人協働型ロボット市場は今後急成長していく。当社はファーストムーバー(市場に最初に参入したプレイヤー)としてしっかり食い込んでいく。M&Aについては周辺領域の技術を持つ会社についてとても興味があり、グループとして一緒にやっていけるところがあれば積極的に取り組みたい。上場承認後、持ち込まれるM&Aの案件数が急激に増えた。

インテグラルが資本参加した理由……ベルトコンベヤ部品事業は安定性が高いが、会社の永続的発展には成長事業が必要と常々考えていた。中で社会課題として労働人口の減少問題が顕在化。われわが長年蓄積してきたロボットに関する自動化ノウハウ自体が事業になり得るとみて18年にロボットSI事業を開始。発展が見えてくる中、やはり永続的発展にはオーナー企業より上場企業が望ましいと考え、19年に上場を目指すことを決意。上場するなら早い方がいいと考え、上場のノウハウを持つファンドと組むことを決めた。様々なファンドと面談する中で相性が一番良く、事業への理解も高いインテグラルと20年に契約。すぐに人を派遣いただき、事業成長に尽力、IPOも目標通り実現。期待通りの内容だった思う。

【記者の目】

ファンドの出口案件特有の割安感の乏しさもあり、さえない滑り出しとなったが、それにより割高感は薄れてきた。ファンドはIPOに伴う売り出しで保有株の多くを放出し、換金売り懸念も乏しい。PER10倍程度に調整すれば中長期スタンスなら資金投下検討。ロボットSI事業は食品、製薬業界に強く、中小企業のみなら大手企業も顧客に。(Q)

関連記事