成膜プロセス装置など半導体製造装置の大手、KOKUSAI ELECTRIC(6525)が10月25日、プライム市場に新規上場した。初値は公開価格1,840円を15.0%上回る2,116円と好調なスタート。金井史幸代表取締役社長=写真=は同社の概況、今後の戦略などについて語った。
新工場が24年秋に竣工……当社は富山と韓国に製造拠点、国内にサービス拠点を設置、開発は富山事業所に集約している。砺波市に2024年10月の竣工を目指して新工場の建設を進めている。既存の工場は開発能力の増強に向けた施設に転用する計画だ。
中期で売上収益3,300億円目指す……中期事業目標として売上収益3,000億~3,300億円(24年3月期予想は前期比26.7%減の1,800億円)を目指す。売り上げ構成は装置ビジネスで70~75%、サービスビジネスで25~30%の見込みで、売上総利益は43%以上を目指す。研究開発費は売上収益比で6%程度、調整後営業利益率は28~30%程度が目標だ。半導体市場は足元、メモリーを中心に冷え込んでいるが、AIやIoTなどの普及で成長するという見通しに変わりはない。当社の装置はNAND分野で使われているが、ロジック向けにも展開して、市場の拡大を図っていく。
デバイスの複雑化に対応……当社の装置ビジネスはバッチ成膜装置とトリートメント装置で世界トップクラスのシェアを持つ。強みはデバイス構造の複雑化に対応できることだ。半導体デバイスの三次元化と微細化が進むにつれ、成膜にかかる時間が増加し生産性に課題が生じる。ここには枚葉式では対応しきれず、一度に数十枚以上の成膜が可能な当社のバッチ式成膜技術と無数の深く狭い穴や溝にも高品質な薄膜を形成できるALD技術が優位となる。トリートメントプロセス装置は、成膜後にプラズマや加熱により膜質の改善をする装置。低温から高温まで幅広い温度での処理が可能だ。
24年末には成長路線に復帰……半導体市況につては現在がサイクルの底との認識だ。ユーザーとの対話や業界のアナリストなどからの情報で判断した。ユーザーの在庫は減り始めているが、次の投資のモチベーションにつながるには時間がかかる。時期的には24年末から25年にかけて大きく成長が戻ってくるとみている。
次世代技術への対応も……今の技術の延長線上だけで考えていては、長期では成長できない。デバイスの進化に合わせ、新しい技術にも挑戦していく。NTTの次世代の通信ネットワークサービス、IWON構想で話題となった光電融合デバイスで何ができるか考えている。現状のシリコン基板での展開もしっかり考え、アドバンストパッケージなども含め、その先を見据えて経営を進めたい。(M)