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IPO2024年6月26日

IPO社長会見 MFS 日本初のオンラインモーゲージブローカー

MFS(196A)が6月21日、グロースに新規上場した。日本初のオンライン型住宅ローン仲介事業者。初値は公開価格を8%下回る368円。上場当日の記者会見で中山田明代表取締役CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

クレジット分析からビジネス組み立て……われわれのコアバリューはユーザーのクレジット分析。住宅ローン、不動産投資ローンをどういうところからどういう条件で借りられるかの分析を強みとしており、そこからビジネスを組み立てている。事業は2つあり一つはオンラインモーゲージブローカーの「モゲチェック」。もう一つはオンライン不動産投資サービスの「INVASE(インベース)」。

利用者と金融機関を媒介……オンラインモーゲージブローカーは、オンラインで提供している住宅ローンの媒介サービス。住宅ローンの利用者と金融機関を取り持ち、利用者にとって一番良いローンをお勧めしたり、申し込みしやすくしたり、チャットでサポートするサービス。特徴は2つ軸があり、1つは借りられるか借りられないかの分析。もう1つは金利条件などのユーザーにとってどういう条件が一番良いかということ。クレジットカードなどを使うと個人信用情報がデータベースに登録され、金融機関の審査で非常に重要。それをわれわれは貸金業者として見ながら金融機関と同じ目線で、借りられる確率を計算した上、利用者のニーズに基づき、一番金利条件や団信条件が良いものを選ぶ。

比較サイトとは業種が異なる……オンラインモーゲージブローカーは米国では一般的だが、日本にこれまでなかった。これまでは不動産会社の営業マンから住宅ローンをあっせんされることがほとんどだった。今はネットで比較でき、システマティックに良いものを選べないかというニーズが高まっている。われわれのサービスが比較サイトと似ているように思われるが、業態は全く異なる。われわれは貸金業で広告業ではない。貸金業なので、ローンの提案や細かなアドバイスができる。今、何千件というローンを提供して単月レベルでは黒字が見えてくるような状況。日本初のビジネスモデルが一応完成したと判断している。住宅ローン市場の残高は200兆円を超えているが、われわれの理論的なシェアは1%に満たず、今後オンライン化が進む中、まだまだ伸ばしていけると考えている。

価格透明性を向上……インベースは、不動産投資でどのくらいローンを借りられるかという分析があり、さらに既に行っている人にはローンの借り換えの提案を行う。今はインベースプロというアプリを展開しており、不動産を探すことや、売却もできる。今後、潜在的な売り手と買い手をアプリに集め、どんどん売買が起きるサービスになればよいと思っている。不動産投資は価格透明性が低いことが課題。情報を提供することで、より多くの人に不動産投を投資対象としてみてもらえると考えている。特徴はPスコアというモデルをつくっており、賃料の安定性を1から5までの数字で表す。場所、面積など8つぐらいの要因から分析して総合的なスコアを出す。リスクを取りたくない人はPスコアの高い物件、リスクをとっていい人は、スコアの若干低い物件を選べばよい。Pスコアに対応する適切な利回りなども開示している。

不動産会社の利用も……モゲチェックの成長戦略だが、住宅ローン提案、特に信用力分析はデータがどんどんたまっていくので、より精緻なものにしていく。今後、大きな起爆剤と考えているのは、不動産会社にモゲチェックをローンのツールとして利用してもらうこと。利用者が一番良いローンを選べる。ただ、不動産会社は利用者がどの銀行に申し込み、今どの状態かわからなくなってしまう。その課題を解決するためのモニタリング機能も開発しており、まもなくリリースする予定。インベースの成長はアプリの拡散が全て。資産評価、今持っている条件をいくらで売れるのかという時価を出す機能を4月にリリースして、会員数が増えている。新しい金融商品的な不動産として広げていきたい。

利上げがビジネスチャンスに……利上げが続くのではないかと言われ、そういう見方もしているが、金利動向と住宅ローンの利用は相関していない。子供ができる、あるいは結婚する時に家を買うので、その時に金利が上がってようが下がってようが買うものは買う。むしろ金利が上がる局面でどういう金利タイプを選べば良いのか、変動金利で毎月の返済額がどう変わっていくのかは関心がある。われわれのサイトに来てそういう情報を取っているので、金利の動きはより多くの利用者によりサービスを使ってもらえるチャンスになっていると思う。不動産投資は、インフレで賃料も上がってくる。金利が今後1、2%上がったところで、賃料の上昇とそれを受けての不動産価格の上昇に比べるとモデレージ(適度)だろう。不動産投資の熱や意欲は、金利が多少上がってもまだまだ強いのではないか。(HS)

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