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IPO2024年6月24日

IPO社長会見 PostPrime AI活用、海外展開で成長を加速

金融・経済、投資関連を中心にユーザー同士が情報交換できるSNS(交流サイト)プラットフォーム「PostPrime」(ポストプライム)を運営するPostPrime(198A)が6月20日、グロースに上場した。初値は公開価格と同じ450円だったが、その後はストップ高の530円まで買われる好調なスタートとなった。高橋ダニエル圭代表取締役=写真=が当日の会見で語った同社の概況、今後の成長戦略などは以下の通り。

PostPrimeのサービス……当社のミッションは最新テクノロジーを使用して、誰でもお金のことを楽しく学べるプラットフォームを拡大することだ。主な収益源は「プライム登録売り上げ」、「メンバーシップ売り上げ」、「アフィリエイト広告」の3つ。プライム登録は、ユーザーが有料コンテンツを視聴・閲覧するためのサービスで、ユーザーはプライム登録(月額課金制)することで有料コンテンツの視聴・閲覧が可能となる。当社の利益はユーザーが有料コンテンツを視聴・閲覧するために支払った料金から、プライムクリエイター(投稿者)に支払うロイヤリティを差し引いた金額となる。メンバーシップとは、「PostPrime」内で当社が提供する特典を受けることができるサービスで、メンバーシップに加入することで、チャートやマーケットのセンチメントを測る指標などを利用できる。通知機能を持ち、月額課金制、課金額全てが当社の利益となる。KPI(重要評価指標)は課金件数と課金単価。3つの収益源のうち「広告」についてはここに依存し過ぎるとメディアの独立性を保つのが難しくなるため、最初から依存し過ぎないビジネスモデルをつくってきた。

強み……新NISA(少額投資非課税制度)など政府による支援策、日経平均株価の4万円乗せなど個人投資家の資産運用への関心の高まりは当社にとって追い風だ。また、一度システムを構築してしまえば、課金件数、課金単価が増えてもコストが大きく上昇することはなく、ストック収入が積み上がる構造となっている点も強みだ。スピーディな開発力、会社全体でもスピード感がある。これまで様々なサービスを開発し、機能を拡充、ユーザー利便性とマネタイズ向上を追求してきた。そして上場もできた。SNSは成熟した市場なので、投稿者を呼び込むためには、クリエーターが活躍しやすい環境で、当社の場合、動画、音声、ライブライブ配信など多様な投稿フォーマットをそろえている。ユーザーが質の高い情報を受け取れるよう、バッジシステムという独自の評価システムもある。

成長戦略……現在は中級者、上級者が中心だが初心者の取り込みも図っていく。まずは既存事業の拡大を目指す。有力なクリエーターの獲得、公式チャンネルの増設、われわれよりも大きなプラットフォームを持つ企業との相互集客などパートナーシップ締結などを進める。新しい領域では海外展開、新たな取引プラットフォームの構築に向けた調査を行っていく。海外市場は国内と比較してはるかに大きな規模だ。コモディティー(商品)は市場が大きく、金融市場とは別の動きをするので、この市場に注目しているユーザーは多い。ほか、人材紹介業にも力を入れる。本業と関係ないように見えるかもしれないが、われわれのプラットフォームに集まるユーザーは平均年収が高く、紹介の際の手数料も高いという特徴がある。

独自のAIサービス構築へ……投資助言のチェックなどのほか、2年ほど前からAIを活用したサービスを導入してきた。AIサービスの開発には学習データが大切だが、われわれはマイクロソフトのようなビッグテックが持っていないような独自データを持っている。ユーザーのチャート閲覧数、頻出投稿ワードなどを機械学習してニッチなAIをつくることができる。SNSは成熟したマーケットで競争が激しい。その視点に立てばSNSだけで当社をこれから何十倍、何百倍と大きくしていくことはできないだろう。新規事業とともに伸ばしていくイメージだ。

日本株の将来性……デフレが終わったのは非常に大きなことだ。アベノミクス、黒田バズーカでもできなかった物価の上昇が起きている。この効果はすぐに表面化するものではないが、徐々に効いてくる。10年かからずに日経平均株価は軽く10万円を超えていくだろう。ただし、現在の円安については少し心配している。(M)

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