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IPO2024年10月24日

IPO社長会見 Schoo 社会人教育の第一想起へ

Schoo(264A)が10月22日、グロースに新規上場した。個人、法人向けオンライン動画学習サービスを展開する。初値は公開価格を10.2%上回る761円。上場当日の記者会見で、森健志郎代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

学び続ける社会をつくる……オンラインによる社会人教育に創業以来13年、一貫して取り組んできた。目指しているところは社会人教育の第一想起。社会人教育、リスキリング、人的社会経営で最初に想起していただくことを目指している。ミッションは「世の中から卒業を無くす」。お金、時間、場所がないなど様々な学びを妨げる課題に対して、テクノロジーやビジネスモデルで解決し、学び続ける社会をつくること。社名のSchooも英語のSchoolの最後の「L」をとり、学びの終わりを取り除くとの意味を込めている。

起業、個人、業界の状況が変化……少子高齢化で社会人教育の重要性は飛躍的に拡大している。企業は終身雇用モデルが終わりを迎えているが、デジタルを中心に新しい人材を採用したくてもなかなかいない。だから、自社の人材を育成しなければならない。個人は転職、副業、起業と働き方が多様化している。大学などの高等教育機関や社会人教育事業者は少子高齢化で学生数が減っており、コスト削減や留学生、社会人を対象とするためオンラインをもっと活用しなければならない。こういった変化が、国主導のリスキリング政策や人的資本経営で、一気に加速している。

3種類のプロダクトで網羅的に対応……そのような社会人教育の変化に網羅的に対応できるポートフォリオが当社の特徴。法人向けのオンライン動画研修プラットフォーム「Schoo for Business」、個人向けにはコミュニティ型動画学習サービスの「Schoo for Personal」、高等教育機関や社会人教育事業者向けにはデータ活用型ラーニングマネジメントシステム「Schoo Swing」を提供している。全てオンラインの動画教育サービスで、リカーリング型中心。売上高の94%は「Schoo for Business」でBtoB(法人向け)SaaSモデル。

リカーリングが積み上がって黒字化に……2023年9月期は売上高20億円、営業赤字6億円だった。しかし、24年9月期は第3四半期まで営業黒字3,000万円に転換した。リカーリング型の収益がしっかり積み上がったことと、原価を中心にコストコントロールを行い、利益を出しながら成長する体制が確立された。SaaSについてはARR(年間経常収益)のCAGR(年平均成長率)は52%、契約者数は2400社でCAGRは20%と社数をしっかり伸ばしている。また、ARPA(1社当たりの売上高)のCAGR(年平均成長率)が26%と、しっかり伸びているのも特徴。要因は2つある。社会の変化で大企業からの問い合わせが増えている。もう一つ部分的に導入した会社がプロダクトやカスタマーサクセスに満足して、全社導入に移行するアップセルが実現している。

3つの強みの掛け合わせ……弊社はコンテンツ、プロダクト、カスタマーサクセス、この3つの強みを掛け合わせてシェアを伸ばしている。コンテンツは質と量、両面の強みがある。自社でスタジオを作り、コンテンツを一つ一つ手づくりしてきた。どうすれば動画コンテンツで満足してもらえるかノウハウを積み上げてきた。また、8,500の日本語の学習講座を保有しており、一般的なニーズには応えられる。プロダクトは双方向で学び手と教え手がやりとりする学習体験を追求してきた。今までの強制的に与えられるつまらないeラーニングと違うと支持を得ている。カスタマーサクセスは、弊社のサービスでいかに学び続けるか、細部までこだわってしっかり伴走している。満足いただけるコンテンツ、プロダクト、カスタマーサクセスで解約率は0.04%の低い水準。

市場を取る余地は十分……法人向けeラーニング市場は約1,100億円だが、当社のARRはまだ28億円。しっかりと今のプロダクトを展開することで、マーケットを取る余白は十分にある。さらに、社会変化から教育に企業がお金を払うようになっており、マーケット自体も拡大する。短期的な成長戦略は大企業をもっと取っていく。人材育成サービスを提供するだけでなく、一緒に人的資本戦略を考えていくコンサルティング、起業にできるだけ寄り添ったオンライン研修サービスといったオプションを組み合わせている。オプションでより大企業の中に入り、そこでこんなサービス、コンテンツが欲しいとの声を聴いて反映する、グロースサイクルを回していく。中長期的には2つの核となる資産を積み上げていける。1つは学び手の顧客基盤。2つ目はオシエテとのパートナーシップ。この2つをマッチングさせるマーケットプレイスを提供し、日本の隅々まで学びを届ける地域の独自提供モデルをつくっていきたい。(HS)

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