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IPO2024年12月2日

IPO社長会見 Terra Drone 低空域経済圏のプラットフォーマーに

ドローンベンチャーのTerra Drone(278A・G)が11月29日、グロースに上場した。上場初日は公開価格(2,350円)を8%下回る2,162円で初値を形成して2,363円で終え、2日目は一時ストップ高(2,863円)。上場当日の記者会見で徳重徹代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

事業内容

ドローンの会社だが、量産のハードウエアを手掛ける会社ではない。領域は2つ。一つは測量・点検・農業分野のソリューション。もう一つはドローンの運行管理システムで、業界でUTMと呼ばれている。ドローンが安全に飛べるよう“空の道”を作るもので、各国の国土交通省や航空局に採用されるようなもの。

強み

ドローンは「早く・安く・安全」ということでどの分野でもお客さまに価値が出せるものになっているが、われわれは例えば日本の水田への農薬散布など差別化が難しい領域は手掛けず、技術や資力を含め参入障壁が高く、市場規模が大きく、リカーリングになるような領域を選んでいる。そして顧客課題をしっかり把握し、対応できる開発チームがあり、世界の市場に横展開できることが強み。例えば、インドネシアのパームプランテーションの農薬散布。一つのプランテーションで3,000~5,000ヘクタールあり、東京ドームの1,000倍の規模をこれまで人の手で散布してきたが、コロナ禍の人手不足で、われわれのドローンを活用する動き。農薬散布なので毎年継続的にビジネスがある。

点検・測量領域

点検はオランダで石油タンクの厚みを測る作業で使用されている。従来は2、3週間生産を止め、足場を組み、人が行っていた。それに対してわれわれは独自のハードウエアおよびソフトウエアをつくり、点検している。オランダの大手石油会社に採用されているが、それを横展開して日本でも展開している。測量は国交省による「アイコンストラクション」を背景に日本を中心に始めている。土木測量は2種類あり、ドローンにカメラを付けた写真測量と、ドローンにレーザーを付けたレーザー測量がある。写真測量はかなりコモディティな領域のためわれわれは高度な技術がいるレーザー測量を行っている。お客さまは建設会社や測量会社で、ハードとソフトを提供している。

UTM

ドローンの運行管理システム、UTMは空が混雑してくれば必要になる。昨年、ヨーロッパにおいて全加盟国でUTM導入が義務化された。このため欧州がこの分野は非常に早い。われわれの子会社ユニフライがベルギーにあるというのもあるが、入札をうまく獲得している。まずはシステム開発から始まるが、最終的にはドローンが飛ぶごとに課金する。ユニフライは当社設立時に出資して筆頭株主になり、上場する前に連結子会社にした。この手はやはり米国が重要な市場だが、こちらはアメリカでトップのアロフト社の株式シェア35%をわれわれがとっており、筆頭株主になっている。

次の一手

ドローンはまだまだ黎明期で今後もどんどん新しい領域を広がっていくと考えている。次の一手として進めているのが送電線の点検。今は人での目視やヘリコプターで行っているが、これもドローンに置き換わっていこう。また、パイプラインの点検も老朽化のほか盗難事故もあるのでセキュリティモニタリングという分野もあるのかなと考えている。日本は土木測量以外はまだまだのところがある中で、われわれは世界で展開しているそうした市場機会を見付けることができている。

物流も非常に社会課題の大きい分野。中でわれわれが注目しているのがフードデリバリー。時間やコストが削減できる上、プライバシーの課題もクリアするということでドローンによる物流に非常にリアリティがある。

IPOゴールでなくIPOスタート…

目指しているのは「低空域経済のプラットフォーマー」で日本日本でもこの10年でスタートアップが増えていてそれは非常にいいことだが、やはり突き抜けるスタートアップをつくっていくべきと思っている。初値についてはそこは今の市場評価と思っているが、一方でわれわれはIPOゴールの真逆のIPOスタートと考えているのでしっかり伸ばし実績を示していけば株価もそれに連動してくると考えている。短期中期でやろうとしているのはオーガニックな成長で日本での測量、インドネシアでの農薬散布、オランダから始まったタンクの点検ソリューション、UTMをしっかり伸ばしていくだけで30%成長、50%成長とみている。(Q)

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