visumo(303A)が2024年12月26日、東証グロースに新規上場した。SNS(交流サイト)に投稿された写真や動画を収集、活用するプラットフォームを提供。初値は公開価格(770円)を34.5%上回る1,036円だった。上場当日の記者会見で井上純代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

クリエイティブを有効活用……事業者がマーケティングを行う際にはクリエイティブを活用して消費者に自社のサービスや会社のブランディングをするといったことが一般的だが、それはデジタルマーケティングが主流になった今でも変わりない。消費者にとって本当に見たいコンテンツが届いていないという実態、また、会社さまの中ではそういったデータが1回の用途で使用が終わって、本当は二次利用、三次利用することによってもっと消費者に届けたい情報を届けられるはずなのにそれがうまくかなっていない。そういった課題を解決するために「ブランドの想いが詰まったクリエイティブを消費者に最適な形で届ける」というミッションのもとシステムを開発し、提供。各事業者さまが日々マーケティングに活用しているクリエイティブデータをプラットフォームで一元管理している。

ワンタグ・ノーコードで簡単に掲載……一般の消費者を含めてブランドや事業者さまだけでないステークホルダーの方がコンテンツを創っていく、われわれの業界ではUGC(ユーザー生成コンテンツ)という言葉で定義されているが、われわれの仕組みはそういったコンテンツを簡単に収集する機能を提供し、各事業者さまのオウンドメディア、自社サイトなどにいわゆるタグというものを貼るだけで、また、プログラミングなどの一切の技術が必要なく、コンテンツの刷新・管理ができる。消費者にとっては好きなブランドや気になっている商品についての情報を得ることができ、CX(顧客体験)の向上を叶えるビジュアルマーケティングプラットフォームとなっている。

多様な事業者の課題に対応……17年にインスタグラムやXに投稿されたUGCを収集、活用する「visumoソーシャル」というサービスを立ち上げた。その後20、21年とコロナ禍に入ったタイミングで多くの事業さまがインスタグラムでライブを始めたり、YouTubeでコンテンツを繰り出すなど、動画の活用が一気に広がるように。ただ、SNS上で動画を放映しても届く人には限りがある。自社サイトなどでもっと簡単に活用できるようにと、「visumoビデオ」という動画の配信をより簡単に最適にする仕組みの提供を始めた。また、当時は例えば店舗を運営されているようなブランドだと、店舗スタッフなどのリソースが宙に浮いてしまった時期があった。商品知識や接客ノウハウといった人材面のリソースをうまく活用し、デジタルコンテンツ上で展開する「visumoスナップ」をリリース。さらに直近では、プラットフォームに蓄積されているアセットをよりパーソナライズしていく目的で「visumoレコメンド」という機能もリリースした。今後も時代のマーケティングのトレンドを常に追随しながら、お客さまの課題を解決するためのシステム開発を続けていきたい。

活用事例……アクティブ社数は649社で業種業態は様々。例えば某自動車メーカー(日産)では、ブランドと消費者が継続的につながっていく施策として、カーオーナーさまの写真や動画を収集し、既存のWebサイトの方に展開していくような事例があったりする。家具のSPAブランド(ニトリ)では、商品を購入したお客さまの自宅の実際のインテリアコーディネートを収集し、自社サイトに掲載。家具を検討している消費者にとっては様々なコーディネートのコンテンツがあると購入体験が分かりやすいが、それをサポートするためには多くのコーディネート写真を自社で撮影しなければならないという課題を解消した。また、昨今ファストファッション寄りのブランド展開をされている会社さま(ワークマン)では、アンバサダーマーケティングという取り組みを非常に強化しており、公式アンバサダーを任命してSNS上で動画コンテンツを展開するなどの事例もある。

3つのテーマを軸に成長……1つ目は、われわれは既に650社とかなりの中堅大手企業と取引しているので、こうした事業者さまの課題をより解決するために既存顧客との取引拡大をしっかりやっていく。2つ目は、物販やEC(電子商取引)が関係ないような業態でもわれわれの仕組みを使ってブランディング強化、サービスの訴求を強めていただく事例が増えている。そこのポテンシャルは多くあると考えているので、今後、EC用途以外での活用促進を新たなマーケットと捉えて事業拡大を目指していく。そしてわれわれはSaaSを提供している会社なので、引き続きマーケティング業界の課題解決を担える製品開発をしっかりやっていく、そこの採用から体制をつくることを3つ目のテーマとして捉えている。(SS)