VRAIN Solution(135A)が2月22日、グロースに新規上場した。製造業向けのAIソリューションを提供している。AIブームもあり、初値は公開価格を73.5%上回る5,190円で、週明けの26日もストップ高(1,000円高の6,810円)と高騰した。上場当日の記者会見で、南塲勇佑代表取締役社長(写真)が語った内容のポイントは次の通り。
AIプロダクトとDXコンサルの2事業
製造業は年間GDP100兆円を超える巨大な産業。一方で、大きな課題に直面している。当社は最新のAI技術と製造業に特化した業界知見を用いて課題解決をミッションにしている。事業は自社開発のAIプロダクトを活用して顧客の課題をシステムとして解決するソリューションを提供するAIプロダクト事業と、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現に向けてワンストップで支援するDXコンサル事業の2つ。創業して3年11カ月だが、特定の業界だけに使えるAIソリューションを提供しているわけでなく、全製造業がターゲット。150社以上の顧客があり、自動車、食品業界中心に電子デバイス、半導体、医薬品など幅広い。今後、上場企業という信頼感が加えれば、急速に導入数も伸びると考えている。
外観検査で人手不足解消
AIプロダクト事業は最新のAIを搭載した外観検査ソフト「Phoenix EYE」(フェニックス アイ)を提供。単に販売するだけでなく、センサー、カメラ、システム装置なども加えてワンストップで課題解決ができるシステムとして顧客が導入し、付加価値が高く喜んでもらっている。具体的には目の代わりになるカメラを製造ラインに取り付け、撮影した画像をフェニックスという弊社が開発したAIプロダクトで解析し、リアルタイムに不具合のあるものだけを排除するシステムを提供している。従来、人が検査して異物は手で排除していたが、当社のシステムは全てオートメーション化されている。人手不足という製造業の課題を解決するソリューション。DXコンサルティング事業は企業の課題設定、検証、システム開発、運用までワンストップで支援する。競合はいくつかあるが、当社は単なるコンサルだけでなく課題解決にも重きを置いており、ハードやデバイス、活用まで全て支援する。
ワンストップで高付加価値
弊社は製造業に深く入り込んだ業界の知見、これを用いた提案力、AI技術の実装、課題解決のワンストップが強み。スピーディーに解決することで多くの案件を経験しており、ノウハウが積み上がっている。ワンストップで行うため、顧客は複数社に依頼しなければならなかったところを、当社だけに頼めばよい。創業3年で売上高が14倍に成長した。創業から成長のために積極的に投資した上で、しっかりと黒字を出している。また、今期営業利益率が35%を超え、収益性もしっかり担保してきた。粗利率は競合の上場AI企業は50~60%台だが、当社は高付加価値の提供で8割を超える水準になっている。
横展開とクロスセルで業績拡大へ
製造業は10万社以上あり、当社はまだ0.1%しかアプローチできていない。この段階で売上高が10億円以上なので、シェアを拡大すれば売上高も数百億、数千億円と成長する。加えて導入した顧客からどれだけリピートしてもらえるかも重要な指標。さらに、工場内の横展開と別工場への展開、サービスのクロスセルを考えている。製造業はたくさんのラインを持っており、一つ成功すればどんどん展開でき、非常に高い成長になる。
海外展開も目指す
AIは従来は世の中を変える技術だろうという可能性が評価されてきた。今は当社の実績を踏まえても、工場で課題解決まで使われる技術になっている。今後、AI市場の成長については確実に見込め、これまでとは違うブームと捉えている。現時点で決定はしていないが、向こう3年かけて拠点を大阪など各地に広げていく。ある程度土台を築けたら海外も目指す。5年程度というスピードで海外戦略を掲げ、まずはアジアを狙っていきたい。(HS)