TOP  NSJアップデート  IPO  IPO会見【書き起こし】スカイマーク(9204)2022年12月14日
IPO2023年1月11日

IPO会見【書き起こし】スカイマーク(9204)2022年12月14日

IPO会見/全文書き起こし

【会社名】スカイマーク(9204・東証グロース)
【上場日】2022年12月14日

【スピーカー】
代表取締役社長執行役員 洞 駿 氏
代表取締役専務執行役員 西岡 成人 氏


【資料】
事業計画及び成長可能性に関する事項
業績予想

本日スカイマークは東京証券取引所グロース市場に新規上場いたしました。

思いおこせばですね、当社は皆様ご存知の通り2015年1月28日に民事再生法の適用を申請いたしました。債権者の皆様や株主の皆様初め、多くのお客様、関係の皆様方に多大のご迷惑とご心配をおかけしまして、改めてお詫び申し上げたいと思います。

民事再生手続きから6年半が経過いたしました。この期間、私共は経営陣を刷新し、ガバナンスの強化、そして社員の意識改革を進めながら、運航比率の高度化、サービスや人員に磨きをかける等々に注力、全社一丸となって取り組んでまいりました。

そして本日、今日という日を迎えることができ、感無量でございます。これもひとえにお客様、関係の皆様、すべてのステークホルダーの皆様のご支援とご協力のたまものと改めて御礼申し上げます。

上場は新たなスタート、責任感をもって役職員一同まい進してまいりますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

羽田空港で高まる存在/独自のポジショニング

スカイマークの概要についてご説明申し上げます。

国交省クラブの方はスカイマークをよくご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、よくスカイマークのことを詳しくない方もいらっしゃると思いますので、基本的なことも含め、簡単にご説明申し上げたいと思っております。

ご存知の通り、当社スカイマークは航空運行事業における規制緩和政策の変更を受けて、新規航空会社として1996年、26年前に国内航空市場に参入をいたしました。

当社の参入によって新たに競争環境の創出に貢献して、これまで世界有数の事業規模を有しながらも寡占的な構造にあった日本の国内航空市場において、スカイマークはエアライン事業の足場を固めてまいりました。

P3にございます通り、当社は国内12空港23路線で運行して、2018年度における当社の年間旅客数は約740万人でございました。国内市場の10%ぐらいのシェアを占める立場にございました。

当社の主な特徴点は3つございます。

1点目は、世界有数の高密度かつ高収益である羽田発着の国内線の発着に注力している。

2点目は、高品質なサービスを、ANA、JALのフルサービスキャリアよりも手ごろな運賃で提供している。

3点目は、燃料効率の高いボーイング737-800による単一機材オペレーションと高頻度運航によって高い収益性を持っているという点でございます。

P4に移っていただきまして、当社はこのような特徴をいかして、いわゆるANA、JALのフルサービスキャリア(FSC)や、ローコストキャリア(LCC)とは異なる独自のポジショニングを確立しております。

フルサービスキャリアよりは安価な価格帯において、フルサービスキャリアとそん色ない同水準の高品質なサービス、無料のコーヒーサービスや20kgまでの手荷物無料サービスなど、同じようなサービスを提供している。

羽田空港をネットワークとして運営しております。LCCはご承知の通り千葉県の成田空港を中心としておりまして、我々とLCCとはほとんど、名古屋で一部競合しておりますけれどもシェアは微々たるものでございまして、LCCとは異なる競争環境にあると考えております。

P5でございます。当社は2015年の非上場化以降、経営陣の刷新を行い、新たな経営体制の下で効率的な財務事業戦略の推進を通じて、コロナ禍前まで順調に業績を伸ばしてきておりました。新型コロナウイルスの蔓延によって業績は大変な打撃を受けたものの、足元では各種施策で回復させておりまして、今後、中長期で事業収益1100億円以上、営業利益率10%台前半を目指しております。

当社の強みでございますけれども、P7、P8にまとめております。1点目は羽田中心の事業運営を行い、盤石の事業基盤を有しているという点であります。羽田は他の空港を圧倒する利用者数を誇っており、高需要の空港であります。当社の搭乗者数は羽田路線が占める割合は、18年度において約6割となっております。また便数にしましても5割強、54%を持っております。非常に安定した事業運営を行っております。

一方で羽田空港の発着枠、離発着回数の許容限度というのがございまして、今は満杯でございますけれども、定期的に発着枠の見直し、再配分が国交省において行われております。4年ごとに行われています。当社は表にございます通り、過去から発着枠を着実に拡大させてきております。直近に行われた2020年の再配分においては、当社のみ唯一、発着枠の純増に成功しておりまして、現在、発着枠は合わせて38枠を確保して、国内線の主要プレイヤーとして有利なポジションに位置しております。これが1点目です。

FSCの快適&サービスを、LCC並みの価格で

2点目は、フルサービスキャリアと同等の高品質なサービスを身近な価格で提供していること。ご承知の通り、座席に関していうとLCCと違うところは、ここが一番大きいですけれども、フルサービスキャリアと同じ31インチのピッチ、座席間隔ですね、フルサービスキャリアと同等の広さの座席を用意している。

また機内サービスは無料でコーヒー、チョコレートを提供していますし、無料で20キロまでの機内手荷物をお預かりすることも可能です。ラウンジ、マイレージサービス、そういうサービスはございませんが、基本的なサービスではそん色がない。それでありながら運賃はフルサービスキャリアを大幅に下回る運賃価格で、競合他社との差別化に成功していると言って良いのではなかろうかと思います。

P10をご覧ください。運航面でも当社は高い品質を有しており、フルサービスキャリアを含めた本邦航空企業の中で定時運航率、第1位を、5年連続で獲得しているということ。また、欠航率の低さでも過去5年連続で1位を獲得した実績も有している。今年は、欠航率は1位でなかったが、上位トップ3に入っています。これは国交省の統計でございます。

それから、運航品質に加えてサービス品質も高い評価を受けておりまして、新幹線を含めた国内長距離交通における顧客満足度調査で常にトップクラスにあって、20年度と今年度においては1位を獲得しております。

国内路線拡充と高効率機材の投入で利益成長を目指す

P16に飛びます。足元から2026年度以降に向けた当社の成長戦略、それに伴う利益成長のイメージを示しております。

まず①でございますけれども、当社は2019年から20年度に向けて羽田発着枠の増加と機材数拡大を行っておりますけれども、コロナ禍によってこの3年、利益効果がまったくといっていいほど発揮されておりません。今後のレジャー、VFRといわれる、いわゆる友人親族訪問需要による着実な旅客数の回復にともない、この枠、あるいは機材数拡大の効果がフルに発現する見込みでございます。

さらに②に記載されている通り、当社はコロナ前はもちろんですけれども、コロナ禍においてもいわゆるレベニューマネジメントを継続しておりまして、これからもレベニューマネジメントの適切な運用によって収益の適正化・拡大化をはかってまいります。

さらに③、④で示しているように2025年度からは羽田空港や神戸、そして福岡空港の発着枠の見直し・拡大というものが予定されております。これに合わせて機材数を拡大することで、収益性を維持したまま増収を図り、B737MAXシリーズ導入によって燃費改善・コスト改善、削減を図ることが期待できます。

①~④によりまして、中長期的にはですね、事業収益1100億円、営業利益率10%台前半を目指してまいります。

さらに⑤に示しておりますように、26年度からは現機材よりも座席数が20%多いB737MAX10を導入することによりまして、羽田発着路線を中心に提供座席数を増加させることができるため、これまで取りこぼしていたロードファクター(座席利用率)、羽田幹線、福岡などは90%を超えていた、ということは、多くのお客様が当社の飛行機に乗れなかった、需要のとりこぼしがあった。この取りこぼし需要をしっかり受け止めて、さらなる利益成長を目指してまいりたいという風に考えています。

極めて概略になりましたけれども、当社の概要そしてこれからの成長の考え方というものをご紹介申し上げました。以上でございます。

Q1:機体について。上場の資金などを使ってボーイング737MAXシリーズ、-10の導入を決められたかと思うが、こちらはまだ型式証明が下りていないと思う。極めて不確実性が高い中で機材の導入を発表されたかと思うのだが、発表までに社内でどのような決定プロセスを経て、発表に至ったのか。

MAX-10に関してはおっしゃる通り、型式証明はまだ取れていない。ボーイングの副社長の先立っての会見を拝読していると、来年の後半ですかね、というような記事を拝見いたしました。このあたりにつきましてはMAX-10の型式証明の取得の可能性について、ボーイング側と緊密な意見交換などを、これまでも数年にわたって継続しておりまして、26年、私共がMAX-10を導入する予定の2026年度までにはですね、余裕をもって、いろいろなことがあったとしても26年度にはですね、これから4年後ですので、そういう意味では入るだろうというそういう想い、というか、ある程度の確信みたいなものがあって導入したいと考えている。万が一、もし直前になってそれができない場合には、それはそれなりの対応を考えたいと思います。

Q2:上場の際に、継続企業の前提に関する重要事象が付いている。このような事例は極めて異例だ。こちらについても社内でどのような議論があったのか?

(西岡氏)
重要事象についての注記記載があるということでございますが、基本的には私どもですね、過去2年半、3年にわたりまして、新型コロナウイルスの影響を極めて大きく受けております。こういった中で当社の財務状況、それからキャッシュフローの状況等を踏まえてですね、この記載が書かれているということでございます。

ただ、足元ですね、皆様ご案内のとおり、非常に力強いコロナ禍からの脱却というものが見えてきておりまして、そういう意味ではですね、外形的にはこういった記載が第2四半期の決算時には残るということではありますけれども、この点について引き受けの証券会社、それから監査法人等とも密に議論しながら、実態として上場させていただくに何ら問題ないだろうという判断の中で、この日を迎えることができました。

Q3:MAX-10以外の選択肢はなかったのか。MAX-10導入に際して検討委員会のようなものが社内であったと思うが、反対意見は出なかったのか。

当然ながら対象となる機種というものをすべてまな板の上に並べて、いろいろな角度から検討し、その結果ボーイングのMAXシリーズ、言ってみれば我社は737-A800を運航していますが、MAXシリーズはその派生型なんですね。そういう意味では、いろんな意味で、コスト、運航するうえで、一番、時間的にもコスト的にもスムーズだという。また経済合理性においても他機種と比較しても優れているというか遜色ないというかそういう結論に至った。社内的には機種選定委員会を作って、それこそ3、4年にわたって、コロナ前から検討していた。その後の状況の変化も踏まえて改めて検討をもう一度見直した上で、決定に至った。

(西岡専務)
少し補足させて頂きます。MAX-10は米国でまだ認証のプロセスが進んでいるという状況にございます。洞からも申し上げましたとおり、私どもが考えているのは、まだかなり先のタイミングであるということ。そういった中で万一、この認証がずれるとした場合には、私どもまだまだこの機材の入れ替えの中でMAX-8についても導入するところがいろいろありますので、そういったところのタイミングを見極めながらということで柔軟に機材戦略、機材のタイミングについては考えてまいりたいと思っております。MAX-10についてはご説明させていただきました通り搭乗率の極めて高い羽田幹線の中心に考えておりますので、仮にその導入認証が遅れた場合には、先にそのほかのところをMAX-8から中心にということで考えております。

Q4:再上場を8年ぶりに果たせたというところで、今後、会社をどのように成長させていきたいという想いがあるのか、改めて聞きたい。

先ほど申しましたとおり、私どもの描いている成長戦略は資料の通りでございますけれども、これまで以上にですね、多くの株主の皆様、そして投資家の皆様、利用者の皆様に対してですね、私どもの社会的に、いろんな意味での責任というものがこれまで以上に重く大きなものになると考えております。

私どもの目指すところは新規参入した時と変わらず、より多くのお客様に高い運航品質と、そしてシンプルだけれども、心のこもったサービスを身近な価格で提供したいというのがビジネスモデルとしてありまして、そのサービスを出来るだけ日本の多くの利用者の皆様方に利用していただきたいというのが、私どものお客様に対する約束でありますので、今後とも責任をしっかり果たしていきたいと思っています。

日本の航空市場が、コロナ禍の環境もあって非常に厳しい競争環境にあってですね、系列化がどんどん進んでいる中で、当社の置かれている立場、存在意義というものは極めて大きいものがあると私は個人的に思っています。我々のサービスを徹底して磨き上げて、より多くのお客様に提供し、利用してもらうことが当社の存在意義であり、そして国民生活の向上に資することだと思っています。

――ということを色んな機会でマスコミのみなさんにお話しさせて頂いているんですけれども、ぜひここを強調していただければ幸いです。

余計なことを調子にのってしゃべりますけれども、SDGsの目標の11番目の中に、あらゆる弱者を含めてですね、公共交通機関を安価な値段で提供していくというものがあります。航空業界でこれを目指して頑張っているのは、当社だけだと思うんですよ。当社はまさにその会社だと思う。私ども、この事業を追求することによってSDGsの実現に貢献してまいりたいと考えております。

Q5:上場で得た資金を具体的にどのように使いたいのか。

資金の使い道でございますけれども、約20億円は日本政策投資銀行から借り入れている劣後ローンの返済に充てる。残りの130億円余りに関しては、先ほど申しました機材の前受金ですね、頭金に充てていく。これはプレスリリースで発表しておりますけれども、26年度にまた6機ですね、これの頭金に充てていく。

Q6:第三極として残っていく中で、今までANAホールディングスが株主、日本航空とも手荷物の受託で提携があった。いわゆる大手との関係を今後どうしていくのか?

ANAさんは私どもの重要な株主でございます。これまでも再生に当たって大変世話になっている。整備から運航の面から、あるいはサービスの在り方についてなど、いろいろなご指導をいただいて、その指導とご協力があってこそ、今日のスカイマークがあると思っておりますし、非常に感謝しております。

ANAさんとは、JALさんもそうなんですけれども、お互いに整備部品の融通であったりですね、お互いにwin-winの関係で助け合える、いわゆる協働の部分がかなりございます。そういう面では、貨物の受け渡しをJALさんとやっているのもそれの延長なんですけれども、ANAさんJALさんを問わず、お互いにそういう風に利益を得ることがあるのであれば、今後とも共有して協力できる部分は協力していきたい。

ただ、基本的にはですね商売、航空運送の営業の部分はあくまでANAさんはコンペティター、競争相手でございますので、そこはしっかりですね、競争するところはガチンコで競争して、一緒に協力できるような部分で、それが商売の根幹に響かないところであれば、そこは大いに協力していくというのが基本姿勢でございます。これからも良い関係を続けたいと思っております。

Q7:再上場に当たってインテグラルの立ち位置は非常に大きかっただろうが、今後、安定株主の形で残るのか、普通に売るのか。残るとすれば、どれくらいを目安として関与していくのか。

(西岡専務)
今回インテグラルさん、上場後も一定の株式を残されるということですけれども、まず私どもの立場としては、一定の一株主の今後の売却意向については関知するところではございませんので、コメントする立場にございません。

今回、上場後ですね、オーバーアロットメントの状況次第ではあるんですけれども、おおむねですね半分が従前の非上場前の株主、おおむね半分が新たな、今日から新たな株主を迎えているということになります。ですので、今回この上場においてですね、私どもの今後の成長に期待くださった株主の皆様の立場をしっかりと大事にしながら、従前の株主、それから新たな株主、同様に、私どもにとっては大変重要なステークホルダーとして考えておりますので、そういった観点でですね、上場会社として少数株主にもしっかりと配慮しながら経営してまいりたいと考えております。

Q8:コロナ禍からの脱却という言葉もあったが、旅行需要が盛り上がる中で、全国旅行支援の再開は追い風になるのではないかと思う。どのような期待を寄せている?

おっしゃる通り全国旅行支援は追い風になりまして、第3四半期、9月の終わりから11月にかけて非常に、当社に関して言うと、コロナ前の2016年のお客様の数をほとんど100%回復したと。(来月)1月の予約状況を見ても第8波の最中ではありますけれども、順調に、今のところ、これまで見られたような波の到来によって大きく予約がキャンセルになるというような動き、そのような大幅な落ち込みは今の所全然見られず、ほとんど平年並みの推移をしているような気配です。

全国旅行支援の影響が、どれくらい割合として増えているかについては、統計的には解釈できませんけれども、その影響は大いにあるということはたぶん、定性的に言えると思います。
1月以降は旅行支援の内容がまだ具体化されていませんけれども、そこのところがある程度明らかになれば、またお客様が、買い控えをされている方もいらっしゃるかもしれませんけれども、変化していく可能性はあると思います。

ただ一方でやっぱり8波は8波として、罹患者の増加との見合いで、年が明けてお正月休み以降どうなるかというのを楽観せずに慎重に考えているところであります。以前プレスリリースでお示ししたとおり、今年度の財務の収支見込みを発表しているところですけれども、おおむね見通しに沿って今のところは順調に推移しているのかなというふうに思います。

Q9:航空業界の競争がより激しくなる中で、社長の思い描くビジョンや意気込みのようなものを聞きたい。

私どものお客様は戻りつつあると申し上げましたけれども、多分、航空業界全体としてはそこまで戻ってないと思います。ですからそういう環境もあって、航空業界の競争は、そういう意味では依然厳しいものがあると思います。それを踏まえてですね、私どもとしてはここで勝ち抜くためには、先ほど申しましたけれども、やはり高い運航品質とそれからシンプルだけど心のこもったホスピタリティ、サービスですね、ここの所に磨きをかけることによって、お客様をしっかり、心をつかんで努力することが必要だと思っております。

当社の飛行機に乗ってお気付きになられた方もいらっしゃると思いますけども、色んなレベルのですね、空港の旅客カウンターあるいは飛行機に乗った時のCAさんのおもてなし、機長のアナウンス、また窓の外に目を転じればランプの職員が、それぞれ思い思いに自分自身でなにか考えたお客様に対する歓迎の気持ちというものを示していることにお気付きになられると思うんですけれども、手前味噌になるかもしれませんが、ほかの航空会社でもそのようなことがあるかもしれませんけれども、当社に乗られると、そこのところの違いというのがもの凄くはっきりしてくる。こういう1人ひとりの創意工夫、別にマニュアル化されたものがあるわけではないんですけれども、気持ちの問題なんですけれども、これがですね、当社の高いロードファクター(有償座席利用率)を保っている源だと思っております。社員もそこのところをもちろん自覚しておりますから、ここをしっかり磨きをかけていくことが必要だと思っております。

Q10:サイパン線の運休が続いているが、それも含めて国際線についてどう考えているのか。

国際線はご承知の通りサイパン線を長期休止しております。正直申し上げまして中長期、2026年ぐらいまではですね、国際線の再開についての具体的な計画は持ち合わせておりません。当面は国内線に注力して、コロナ禍によって傷んだ財務体質などそういったものをしっかり立て直して、とにかく国内線の需要、戻りつつある国内線の需要をしっかり当社が受け止めて、早くコロナ前の状況に戻り、それからさらに上に伸びるということに注力したいと思っています。

その後どうするのかということについてですけれども、だからといって国際線を諦めたわけではございません。その後の成長戦略を考えると、国際線の再開、開始というのは極めて大きな検討事項だと思っております。この間ですね、しっかり検討を重ねて、そして規律を持ってというか、しっかりとですね、どこから取るか、どの路線を取るか、その辺のところを見極めて、必ず成功するために、検討からしっかりやっていきたいと思っております。

ですから、そのためにも、国際線のノウハウというものは維持する必要があるので、それまでの間に需要があればチャーターといったものを飛ばすというようなことは考えております。

(西岡専務)
国際線についてはまさに社長からのお話があったとおりなんですけども、我々は目の前にそういう意味では成長する機会がたくさんあるんです。ですので、まずは限られた社内のリソースをそういったところに充てながら、規律を持って、つまり我々経営破綻の原因になった過度な機材戦略・ネットワーク戦略、こういったところをしっかりと反省し、省みながら取り組みたいと考えております。

Q11:ANA・JALとの競争について、どのように対抗するのか。LCCも両社と連携しているが、こちらはどう対峙するのか。差別化戦略など。

ANA、JALとの競争激化について、どう戦うのか。正直言いまして、コロナ前の当社のロードファクターって全体で80%を超えているんですね、幹線に至っては90%を超えている、そういう状況で、要はパンパンだったんです。ですから新機材が入ってくるまでは、2025年に6機のリース機が入ってまいりますけれども、機材数は2025年まで増えない。ですから、現有の29機をいかに効率的にパンパンになって飛ばすかということが、当社のそれまでの成長戦略。そのためにはさっきの説明にもございました通り、2019年と20年に飛行機を2機、羽田の枠を2つ手に入れましたが、コロナ禍の3年間お客様がわーっとが引いてしまった。普段だったらその2機のうち大体1機33億円くらい平均で稼いでいた、平時で。2機がフルに活動すれば70億円弱くらい収入が増えるんです。ですから現有の29機をロードファクター、要するにパンパンにして飛ばすと同時に、それだけ高いロードファクターになれば、イールドマネージメント、さっき言いましたけれどもダイナミック運賃ですね、非常に機動的に操作することができるんです。

お客様が少ない中でそれをやろうとしても、なかなかまわりやお客様がついてこない、あるいは他のエアラインがついてこないということもありますけれど。これから他社も含めて、日本の国内航空需要がぐっと伸びてきている。また、インバウンドも増えてきて、全体のお客様がコロナ禍前に戻ってくれば、イールドマネジメントもこれまでと同じ様に効果を発揮することができて、必要な単価の上昇そして利益の拡大といったものもですね、非常に機能してくると。ですからそれが、この説明資料の②で説明した通りとなります。

2025年度以降は機材数を増やす。そして26年度以降、MAX-10が入ってくれば、さらにキャパシティを増やしていくと。ロードファクターを高く維持しつつ、収入を適正化あるいは拡大化していくというのが今後の成長ロードマップです。

お客様にしっかり乗ってもらうためには、繰り返しになりますけれども、当社のサービス品質、運航品質に、いささかの翳りがあってはいけないと思っています。これがある限りはですね、一度、当社を利用して頂いたお客様は皆、自腹で乗っているんですね。ビジネス客は当社の場合はトータルで2割ぐらいしかいない。幹線にいたっては、もう少し比重が高いとは思いますが、ほとんどの利用者は、自分の財布から介護のために毎月、田舎に帰る、あるいは単身赴任者が福岡から東京の家族のもとへ帰るといった、自分たちの財布から。当社の飛行機を利用していただいたお客様は必ずリピーターになってくれる。そういう意味で、自分たちのサービスモデルには絶対の自信というんですかね、慢心するつもりではありませんけれども、他社にはない差別化ができていると思っている。そこをしっかり磨けば、お客様は付いてきてくれると思っています。

(西岡専務)
僭越ながら補足させていただきます。皆さんお気に入りの定食屋とかってあります? ホスピタリティーにあふれていて、もうそのなんて言うんですかね、そこの店員さんも大変良い感じで、味はもう絶品、値段は懐に優しいと。我々のエアラインってそういう会社だと思っているんです。これは私だけが言っているので、全社でそういうことを言っているわけじゃないんですけども。

例えば服でいうと高級ブランドじゃなくて、お気に入りの普段着、皆さんありますよね。すごいコスパが良くて、何かやっぱりついつい着ちゃうと。やっぱりその、この航空業界が競争激しいわけですけれども、大手のフルサービスキャリアはお気に入りの定食にはならない。安かろう悪かろうというと怒られちゃうかもしれませんけれども、なかなか日本でビジネスモデルが根付いていないLCC、そういったところもお気に入りの定食屋にはならないと思いますね。

我々だけがこういったビジネスモデル、非常にユニークなサービスを提供しながら、コロナ前についてはしっかりとロードファクターを高めながら、多くのお客様に知っていただいたということは大変ありがたいことだと思います。そういう状況ですので、このコロナ禍を乗り越えて、私ども引き続きこのビジネスモデルを今、社長の洞からありましたけれども、磨き上げることで、より多くのお客様にご利用いただいて、大手やLCCにない高い強い競争力、市場教職力があるという風に信じております。

そういった中で例えば羽田ですとか福岡ですとか神戸、2025年に枠が増えるというようなこともありますし、私ども機材を入れ替えて、しっかりと地に足が着いた形で事業を一歩一歩ですね拡大して、多くのお客様にご利用いただけるよう頑張ってまいりたいと思います。

国際線についてはまさに社長からの話があったように、われわれ目の前に成長する機会がたくさんあるんです。ですから、まずは限られらた社内のリソースをそういったところにあてながら規律をもって、つまり、我々の経営破綻の原因になった過度な機材戦略だったりとかをしっかりと反省し、省りみながら。

Q12:かつてJALが2年半ほどで再上場したが、スカイマークは8年弱かかっている。このことについて自己評価と総括を聞きたい。

民事再生の卒業が上場のタイミングだという風に考えるかは別として、上場のタイミングからいうと、本来コロナ前の春にはですね上場しようということで上場申請をしていたんですね。ただ、私が社長になってすぐにコロナ禍になって、それどころじゃなく、会社が潰れそうな状況ですからね、上場どころじゃないということで。

コロナ禍の3年間を除けばですね、再生が終了したのが2016年の1月、だとすると4年ちょっとくらいですね、民事再生の終了した翌年度には、もう黒字を計上しているんです。何をやったかというと、先ほど申しましたとおり、経営陣の刷新によってまずはガバナンスをしっかりと立て直したということですね。ということは、いろいろな事業分野でしっかりガバナンスを生かして、規律を持って、無駄なことはやらないし赤字が出るようなこともしない、そういったことをしっかり引き締めたということです。具体的にやった施策というのが、赤字路線を切ったり、複数機材を単一機材に統一するなどして徹底的にコストを下げて、とにかくいろんなことをやって、効果としては1年で黒字を計上しました。

社内的に変わったのはガバナンス、さっき言いましたように社員の意識改革です。「航空会社は何を心がけるべきか」「お客様へのサービスはどうあるべきか」「時間をきちっと守る」。
あるいはお客様に対してですね、極端なことを言うと以前は、「CAは保安要員でサービス要員ではありません。だからお年寄りが手荷物を頭上の荷物入れに入れるのを手伝いません」、要するにマインドがまったく今と180度違っていた。定時性という概念すら、あったかどうかもよくわからない。そこのところをしっかりと社員の意識改革、航空会社とはどうあるべきなのか、お客様とどう向き合うべきなのかという意識改革、それが本当にもう見事に成功して、定時運航率ナンバーワンになったのは、すぐでしたね。

これは極端な話ですよ。うちは小さな会社だから、あらゆる職種の人が協力関係を作らないと定時運行できない。機長さんからCAさんからすべて、地上から旅客から、そこのところは完璧なまでのマニュアル化が体に染み付いていないと。ちょっとやそっとでは中々、一種のブランド化を、もうしている。

なので、そういう意味での民事再生からの立ち直りというのは、1年ぐらいでできたんじゃないかと思っている。もちろんそれだけでは完璧にピカピカになったわけではなく、不完全なところはまだいっぱい残っていると思いますが、基本的なところは元に戻ったと思っています。

繰り返しになりますけれども、スカイマークの強みは羽田路線に集中してスロットもたくさん持ってる、そういうところですよ。うまく経営すれば、絶対うまくいくはずなんですよね。基本的なところをきちんとやればちゃんとできると思っております。

(西岡専務)
まず、民事再生になり、今のというか、非上場時代の株主の皆様から支援をいただいて、新しい新生スカイマークが始まったということで、当時は5年以内に上場しようということで目標に掲げておりました。そういった中で2020年の月、3月以降ですね、コロナになり、まさにコロナ禍の3年弱、ここは足踏みがあったということです。

日本航空さんについては破綻後、速やかに上場されたわけですけれども、私ども新しい会社になって最初に掲げたのはですね。こちらの資料にもありますけれども、定時出発率、顧客満足、最下位集団だったんです。そういった中でしっかりと品質を磨き上げて、お値打ち価格で提供しよう、そういう会社になろうということで、社員一丸となってやってきたところがですね、徐々に、まだまだ改善すべきところはあるんですけれども、徐々にそういったものが出来上がりつつあるということだと思っています。

ですので、拙速に破綻後1年で上場するというよりは、しっかりと新しい経営陣、新しい株主のもとで作り上げたいという絵を描いたんですね。この会社、このビジネスモデル、これをしっかりと目途をつけた上で、今回新たに新しい株主の皆様にも入っていただいて、新しいスタートに立ったのではないかと思っています。

ですので、遅すぎたとか足踏みしたといったようなところは、コロナではありますけれども、まさにこの日本の航空業界に、今後もですね、スカイマークが今のビジネスモデル、今の良さを磨き上げていくことで、今後も長きに渡って良い影響を与えていけるのかなというふうに考えております。

Q13:初値が公開価格を上回っているが、どのように受け止めていますか。

まだコロナ禍が続いている最中であるにも関わらず、また市場環境が決して良いというわけではない中で、非常に良いスタートを切れたのではないかなと、正直ほっとしているところはございます。これからも、投資家みなさま、株主のみなさまの期待を裏切らないように、さらに企業価値を向上して資本市場にしっかり向き合ってですね、社員一同頑張っていきたいと思っております。

Q13:グロースに上場すると決めた理由は。

グロース市場は成長企業もたくさん上場しているというのがございます。また、要件的にもいろいろございまして、要件をクリアする意味からもまずはグロース市場からスタートしていくということであると思っております。企業価値をしっかり高めて、しっかり力を付けていくことが当面の目標と思っています。

Q14:中長期目標の事業収益1100億円の達成時期の目印はありますか。

年表の中にあります通り2025~2026年を考えております。

Q15:今後のIR方針について確認をしたい。

IRにつきましてはさっそく社内的に組織を立ち上げております。IRのホームページを開設して活動を開始しております。今後とも投資家のみなさまに対して適切なIRの徹底に努めていきたいと思っています。

Q16:株主優待や配当の考え方について。

優待は今のところは計画はございません。当社は昔からなかったんですが、当社の運賃というのは繰り返しになりますけれども、相当手頃な運賃で提供しております。そのため、株主優待をあえて発行する積極的なメリットはあまりないですし、優待に回すリソースをむしろ株主還元などそういった形でですね、報いていきたいと考えております。また株主還元については極めて重要な課題なので、ここは真面目に考えていきたいと思います。

ただ、当面はコロナ禍で非常に傷んでおります財務の改善に注力していきたいと思っております。財務の状況あるいは今後の投資資金、事業計画、投資計画などを勘案しながら、またそれらとのバランスを見ながら、また他社の動向なども見ながら、その時期や在り方などについて検討していきたいと思っております。

(西岡専務)
基本的には私ども今回増資させていただきまして、今後の成長戦略をしっかり進めていく上での、非常に良い形での財務基盤が整ったと考えています。しかしながら、大手航空会社との比較で申し上げると、もう一段の財務基盤強化というところも念頭にはございます。
ですので、足元はそういったところを優先しながら、一方で、私どもの事業運営から生まれてくるキャッシュフローは非常に大きいものがあると思っていますので、タイミングを見極めながらですね、株主還元についても前向きに検討してまいりたいと考えております。

Q17:国内路線の今後の戦略について。羽田発着枠や機体が増える中で、新規なのか、これまで就航していたところを戻すのかも含めて聞きたい

結論を先に申し上げますと、まだ具体的な計画はできておりません。羽田の枠は取れるのか、いくつ取れるのか、神戸は拡大することがはっきりしております。福岡についても、どれくらい確保できるかまだはっきりしない状況なので、具体的な路線とか、あるいは既存路線の増便で対処するのかなど、そのところはまだ決まってはおりません。

ただご承知の通り、羽田路線はどの路線を取っても極めて有望な路線でありますし、福岡も同じように極めて貴重な路線で、奪い合い、競争が非常に厳しい。神戸は60%ほどを当社が現在占めておりますので、ANA、JALはむしろ伊丹を基地としております。いずれにせよロードファクターを、しっかりと、どの程度お客さまが期待できるかをしっかり見極めながら、そのところの選定を間違わないように検討していきたいと思っております。

(西岡専務)
当社ボーイング737-800を29機で事業運営をやっておりまして、御案内のとおりでこれも今、製造されていないんですね。ですので私ども、次の後継機が導入される2025年までは機材数が増えないということですので、基本的に、若干のこの便数の変動はあろうかと思っていますけれども、国内路線のネットワークを増やしていくということは、25年までは基本的には想定してないということです。

25年以降、先ほどからも説明させていただきますとおり、羽田の枠の改修、再配分があり、福岡の滑走路が新たにできるということ、神戸の枠がある、こういった大きな変化がございまして、そこに私ども新たなこの機材の導入を充てていくということを考えています。

ですので、そういった中で、この枠の取れる状況を見極めながら、当社、羽田以外に神戸ですとか、茨城ですとか、当社独自のネットワーク色々と持っていますし、そういったところを組み合わせながら、25年を見極めて慎重に路線ネットワークについても検討してまいりたいというふうに考えてます。

Q18:コロナ禍の影響がなくなった後でもリモートワークが定常化するなど、ポストコロナのビジネス環境の変化をどう見るか。有利なものになるのかどうか。

ビジネス客の戻りは、はっきり統計的に示せませんけれども、確かに遅いということがはっきりしていると思う。当社の法人顧客の戻りなどを見ていると、これまでのお客様の5-6割ぐらいしか戻っていないという報告も受けています。

また、報告によると、伊丹空港のANA、JALさんが飛んでまして、我々は神戸空港ですけれども、伊丹空港と神戸空港の賑わいをみると、神戸より伊丹の方が空いているんですね。
ANA・JAL線はビジネス路線ですから戻りが遅れているのは確かです。これが最終的にどこまで戻るのかというのは予測はできませんけれども、仰る通りリモート会議などで用事が済む部分というのはかなりあるので、その部分は着実に減ってくるだろうと思います。

事実、私どもの会議においてもリモートで済ませる部分はもう全部リモートになっております。ただ、商売として全部リモートで済まされないものは必ずありますし、ましてや営業といった話になってくれば、膝を突き合わせて話をしないとなかなかうまくいかない、という部分もあります。最終的にどこまで戻るかは分かりませんけれども、影響が出るのは確かだろうなと思います。

そういう中にあって、当社が受ける影響なんですけれども、こういうコロナ禍にあってですね、諸物価がどんどん上がっている中で、非常にコスト意識の高い出張客が逆に増えたと思うんです。そういう意味で、当社の便というのは、便数もちゃんとあるし、時間の選択肢もたくさんありますし、何よりコストが大手に比べて安いですし、定時性も高いということで、これまでANA、JALさんを利用されていたビジネスのお客様が当社に移る可能性も非常にあるのではないかと思っています。

私ども毎日のようにお客様のアンケートを分析しておりますけれども、「スカイマークのおかげでこれまで鉄道で行っていた出張が飛行機で行けるようになりました」とか、札幌や福岡にしょっちゅう行き来しなければいけないようなビジネスのお客様が言うには、「スカイマークは安いうえに便数もたくさんあるし、定時性も1番だからスカイマークを専ら利用してます」という会社もたくさんあるんですよ。そのようなお客様が今後さらに増えることを期待しております。

事実、リーマン・ショックの時は顧客数がガーンと減った。その時はスカイマークの落ち方とJAL、ANAの落ち方に全然差があったんです。言葉を変えて言えば、不景気のときに強いエアラインという評価が立てば良いなと思っておりますけれども、これは余談ですね。

Q19:今後スタンダードやプライムに上場する予定や計画はあるか。

今回、グロース市場に上場しました。先ほど申しましたように、グロース市場において株主様や投資家のみなさまの期待に応えて、しっかり企業価値を高めて、お客様の期待に応えていくことに専念したいと考えております。

そういった中において、状況がいろいろ変わってくるでしょうから、その変化に応じてですね、さらに上のクラスを目指すかどうかということは、その時点で考えていきたいと考えております。基本的には、願望としては上のほうに行きたいなという希望はありますが、それがいつかと申し上げる時期ではないと思っています。

Q19:配当の話。中長期の目標を掲げているが、その時には実施したいという認識があるのか。

株主還元は非常に重要な課題だと思っていますし、そのときの事業の状況や財務状況であったり、今後の投資計画、事業計画そういったものを勘案しながらですね、繰り返しになりますけれども、ANAさんJALさんがですね、配当を再開されることを考えていらっしゃると思いますけれども、他社の状況というのも重要なファクターだと思います。そういったものを総合的に勘案しながら、タイミングや規模を考えてみたいと思います。いま具体的な、今年度は無理ですけれども、考えていきたいと思います。

(西岡専務)
いま洞から申し上げた通りです。繰り返しになりますが、今回新たに入ってくださった株主様の期待にしっかりこたえるべく、株主還元についても前向きに検討してまいりたいと思います。

Q20:ANA、JALが復配したら御社も前向きに考える、と?

私どもの財務の状況、成長のための投資機会、こういったものと、他社の状況を見極めながら、総合的に検討してまいりたいと思います。

関連記事