AI活用、IPのクリエイトで高いポテンシャル
中長期スタンスで大きな取り組みを
note(5243・G)は個人をはじめ、あらゆるクリエーターが文章や漫画、写真、音声、動画などのコンテンツをウェブサイト上で自由に投稿、販売することができるCtoCメディアプラットフォーム「note」、企業の自社メディア運営などを支援する「note pro」などを展開。今年1月にはグーグルとの資本業務提携を発表し、株価が急騰した。AIの活用やIP(知的財産)の新たな発掘と流通に取り組むなど、中長期的な成長期待は大きい。鹿島幸裕取締役CFO(写真)に今後の展望などを聞いた。
――そもそもnoteはどのようなことをやっている会社なのか。
会社のミッションは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ということで、個人も法人も、情報や自分の考え、コンテンツを発信して、流通させてマネタイズする仕組みを提供している。ブログとの違いは創作を多くの人に届ける「ディストリビューション」とマネタイズ(お金に換える)ができる「ファイナンス」のプラットフォームを作ったこと。ネットのマネタイズは広告モデルが主流だが、非常に収益性が低いので時間と手間とお金をかけたコンテンツが出回りづらい。noteが課金の仕組みを提供することでクリエーターは自分が本当に表現したいことに集中できる。
――グーグルとの資本業務提携について。
グーグルとの提携を皮切りに同社の生成AIエンジン、ジェミニ(Gemini)を使った創作支援も始めた。noteへの投稿時に対話形式で、この文章をより良くするには、あるいはもう少しカジュアルな感じにするにはなど相談できる。AIによってクリエーター創作活動の幅が広がり、投稿数を増やせ、いいコンテンツが増えれば、読者も増える。
グーグルが絡まないところでもAIはどんどん活用してゆく。noteは多種多様なコンテンツが投稿されていて、ユーザーによっては興味のないコンテンツも存在する。AIを使ってそれを最適に届ける支援などができる。例えば企業向けでは、炎上の防止機能の提供がある。企業は炎上させるつもりはなくても、炎上してしまうケースがある。noteで発信する企業の情報をAIがチェックして、「ここに炎上の可能性がありますよ」というようなアラート機能を提供している。さらに汎用化させるとnoteから離れて、プレスリリースや様々な企業の情報発信でもリスクを防ぐ、炎上防止の保険代わりのようなものになれる。
――投資家向けにnoteマネーを展開しています。
noteでも経済、ビジネス、投資系のコンテンツは人気で、点在していたものをまとめた。実はnoteマネーには広告枠も設けている。多種多様なコンテンツのあるnoteに金融関係の広告が入っていると、興味のない人にはノイズになり得るが、投資系のサイトとして独立させると親和性が高い人が集まり、広告も展開しやすい。適切にターゲッティングされた広告であればノイズではなくコンテンツとして成立する。
――本紙読者にメッセージを。
中長期の目線感を持って大きなことに取り組む会社を目指している。まず誰もが訪れるインフラになりたい。まずは、少なくとも日本人全員が使うようなインフラ、サービスにしていきたいと思っている。そこでグーグルとの提携とか、AIでの展開など、すごく面白い展開ができて、CFOの立場から見て、大きなポテンシャルがあると思う。
4月からは物語投稿サイトTales(テイルズ)という新しいサービスを開始した。これもかなり大きなところを見据えてやっている。マンガ、アニメなどエンターテインメントの原作となり得るコンテンツの投稿サイトを作りIPを生み出してゆくビジネスだ。エンタメは海外に通用する数少ない日本の成長分野。Talesから生まれた作品を出版社、テレビ局、動画配信サービスなど様々なメディアにつなぐ事業が今まさにスタートしたところだ。ディストリビューションだけでなくクリエーションのプラットフォームとして、世界に羽ばたくIPを自社で生み出すことができると思っている。グーグルとの資本業務提携で株価が上がったが、まだここがスタートポイントで、さらに上場企業として大きく伸びていけると考えている。