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特集・その他2015年8月6日

☆日本郵政グループ大研究〈第1回〉 3社同時上場迫る!!

3社の成り立ちと概要 小泉改革で誕生、総合サービス業の巨人

2015年相場でも最大の“ビッグイベント”として、今秋に予定される日本郵政グループ3社の株式上場への注目度が高まっています。「日本郵政」は昨年12月、自社と、傘下の「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」との3社同時上場計画を発表し、今年6月30日には東証に上場本申請を行いました。順当なら10月にも実現する見通しです。1987年のNTTを皮切りに、JR各社やJTなど、いくつもの民営化企業が上場にこぎ着けましたが、「残された超大物」の登場とあって、株式市場にも大きなインパクトを与えることは間違いありません。新たな個人投資家を呼び込む“起爆剤”にもなることでしょう。今回から、新規上場する日本郵政グループ3社について、その特徴や、今後の成長性、上場の意義や市場への影響などさまざまな角度から見ていきたいと思います。

まずは、日本郵政グループの成り立ちと主な概要ですが、表のように、日本で郵便事業が開始されてから今年で145年目を迎えています。そして、2005年、当時の小泉純一郎内閣が異例の衆院解散まで実施して成立させたのが郵政民営化法です。政府保証のある郵便貯金に資金が集まりがちで、民業を圧迫しているとの主張が背景にありました。

同グループは、07年10月の発足当初、持ち株会社の日本郵政の下に、「郵便事業」「郵便局」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の4つの株式会社がぶら下がる構成でしたが、法改正を経て、12年10月に郵便事業と郵便局が統合して「日本郵便」となり、合計4社体制への再編が行われました。同時に株式売却凍結法が廃止され、政府が保有する日本郵政株式は、3分の1超を残して売却可能になりました。株式上場されるのは、日本郵政と、子会社では、日本郵便を除く2社で、“親子上場”という形になります。

日本郵政グループのグループ・ブランドマークは、ジャパンポストの頭文字である「JP」です。同グループは、日本最大のサービス複合企業でもあります。グループ全体の利益の約9割は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命という2つの金融サービス会社によるものですが、物流、宿泊施設(かんぽの宿)、不動産事業などにも広く展開し、例えば不動産事業の規模は、民間の不動産大手にも匹敵しています。

もちろん、ゆうちょ銀行、かんぽ生命も、民間と比較すれば、その存在感は圧倒的です。ゆうちょ銀行の預金量は預金取扱機関全体の1割を優に超え全国地方銀行60行にも比肩し得る規模です。かんぽ生命も総資産規模で、2位の日本生命を5割方上回っています。

次回は、上場する3社それぞれの内容について、もう少し具体的に見ていきたいと思います。(第2回は8月13日付掲載予定)

日本郵政の歴史
年月内容
1871年4月郵便創業
1875年1月「郵便役所」を「郵便局」と改称、郵便為替創業
1875年5月郵便貯金創業
1885年12月逓信省発足
1906年3月郵便振替創業
1916年10月簡易生命保険創業
1935年12月年賀切手の発行開始
1941年10月定額貯金の創設
1949年6月二省分離に伴い「郵政省」発足
1993年6月定期貯金・定額貯金の金利自由化
2001年1月郵政省と自治省、総務庁が統合した「総務省」と「郵政事業庁」に再編
2003年4月日本郵政公社発足
2004年9月小泉純一郎政権が郵政民営化の基本方針を決定
2005年9月郵政民営化を争点にした衆議院選挙で自由民主党が大勝
2005年10月郵政民営化法案が成立、投資信託の販売などの取り扱い開始
2006年1月日本郵政株式会社が発足
2006年4月郵政民営化委員会が発足
2007年10月日本郵政グループ(日本郵政、郵便事業、郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)発足
2008年2月ローソンと総合的提携の合意
2009年4月日本通運と宅配便事業を統合
2009年12月民主党政権下で、株式売却凍結法が成立
2011年11月東日本大震災復興財源確保法が成立
2012年4月改正郵政民営化法が成立
2012年10月「郵便局株式会社」と「郵便事業株式会社」統合により、「日本郵便株式会社」発足
2012年10月郵政グループビジョン2012を発表
2013年3月JPタワーの商業施設「KITTE」が開業
2013年6月元東芝会長の西室泰三氏が社長就任
2014年1月かんぽに新学資保険の販売認可
2014年2月中期経営計画を発表
2014年8月がん保険新商品(JPオリジナルプラン)取り扱い開始
2015年2月日本郵政、豪物流大手トールHDを約6200億円で買収すると発表
2015年4月中期経営計画を策定
2015年4月高齢者向け新サービス実施に向け、IBM、アップルと業務提携
2015年6月日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が東証に株式上場本申請
※出所:みずほ証券エクイティ調査部など

[本紙8月7日付1面]


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